セクシャルヒーリングTAOの癒しのセクシャルエッセイ |
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TAOの今年の忘年会は、12月10日・11日の一泊二日で、有馬温泉の有名旅館で行いました。アメリカ、フランスの2組の外人ご夫婦、アメリカ、イタリア、ブラジル、カナダ系チャイニーズの4人の外人女性、志乃さんと滋賀のSさんご夫婦、3人の日本人女性、そして私をまじえて、男性5人女性11人の16人が集いました。
旅情豊かに浪漫あふれるいで湯の町を、ゆっくりと散策しながら瑞宝寺公園に向かいました。ここは、「錦繍谷」と称せられるように、関西屈指の紅葉の名所です。今年は例年より紅葉が遅く、みごとな錦秋なす紅葉が私たちを迎えてくれました。甘酒で暖を取りながらの紅葉狩り。観光客が寄ってきて、外人女性たちに記念撮影をせがんでいました。
このあと紅葉坂から善福寺、林溪寺にお参りして、鼓ヶ滝を訪れました。ここでも紅葉真っさかりで、またまた甘酒を手に紅葉を見やりながら、滝の音に耳をかたむけていました。滝壺に落ちる水の音が周囲の岩に反響して、鼓を打つ音に似ているところから、こう名づけられたといわれています。外人たちにせがまれて、太極拳を披露するはめになりました。錦秋の舞台に鼓の音、まるで私のために晴れ舞台が用意されているかのような気分です。しかも甘酒を三杯。ほんのりとした酔いにまかせて、酔拳風にアレンジした龍舞を表演。舞いながら、楽しさが私の心を鼓舞して、少々(いや、かなり)調子にのって、空中に飛び上がったその瞬間、蹴り出した右足の親指を捻挫してしまいました。
湯煙の町をさんざ散策したあと旅館に入りました。浴衣に着替え露天風呂へと向かったのですが、ここでハプニングです。男は男、女は女の暖簾をくぐると思っていたのですが、志乃さんが「皆さんこちらから、今日は男女混浴の露天風呂になっています」と案内したのです。男性5人が目を見合わせて、キョトンとしているそばから、女性たちは歓声を上げながら、さっさと浴衣を脱ぎ去っているのです。湯の中といわず湯の外といわず、女性たちは、裸というドレスを着ているかのように、大らかに、そして、艶めかしく、はしゃぎまわるのです。あとで聞けば、志乃さんと、カナダ系チャイニーズのPOLINが仕組んだ演出で、女性たちは事前に知っていたとのことです。
野趣あふれる露天風呂では、男性たちにつらい試練が待っていました。乱舞する裸身の群れは、男性の男性たる肉体に重大な影響をおよぼすのです。外からはうかがい知れませんが、湯の中から出ることのできない状態になっているのです。フランス人のAniceeのご主人は、長湯が苦手で、白い顔が紅葉のように真っ赤かになっています。「これは、煩悩解脱の修行ですよ」と、私が男性たちに声をかけ、5人で「シュギョー、シュギョー」と大声で唱えていると、女性たちは、身をよじって笑い転げているのです。
混浴露天風呂を堪能したあと宴席までに少し時間があるので、私が『愛の手』と名づけている、簡単なボディーワークをすることにしました。二人で組になって、向かい合います。片方の人が手のひらを上に向けて、両手を差し出します。相手の人は、差し出された手に自分の手を重ねるのです。ほどなく、差し出した手を、さっとすばやく引きます。完全に脱力して、手を相手にゆだねていれば、このとき、両手は、だらりと下に落ちます。ところが、手に力が入っていたり、相手に遠慮していたりすると、相手の人が手を引っ込めても、両手は空中に残ったままになります。
「手の力を抜くというよりは、自分の手の重さにまかせます。息をたっぷり吸ってゆっくりと吐き、相手の人に身も心もゆだねるのです。手をゆだねられた人は、相手の手から力が抜けてゆくのを感じてください。相手が完全に脱力して、自分に身も心もゆだねた状態のとき、やわやわとした重みが伝わってくるはずです」。
「やわやわと重みのかかる芥川」 俳風柳多留
「芥川」は、高槻市を流れ、淀川に注ぐ川。「伊勢物語」六段の舞台で有名になった。男(業平)が尊い身分の女と恋仲になり、男は女を背負い芥川を越えて逃げる。逃避行の修羅場ではあるが、背負った女の肉体と息づかいが男の背に「やわやわ」とした「重み」で伝わってくる。すべてを捨て、男にからだもこころもゆだねた女。ただ、女との恋の成就だけに盲進する、男の一途な行動。胸を背で合わさっている女の肌と男の肌は、もはや、他者と己をへだてる境界ではない。肌に包まれた肉体と魂の生命の躍動だけが、熱く脈打っている。
恋をしたから女の肉体が「やわやわ」と変容したのか、「やわやわ」とした「重み」の肉体が、恋のあいかた、男(業平)を引き寄せたのか。
男の背に負われた女は、逃げる最中に鬼に食われてしまう。命をかけた恋の逃避行だったのだ。
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Inju・プロフィール |
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