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TAO

セクシャルヒーリングTAOの癒しのセクシャルエッセイ

  私は長年、太極拳や気功を修練し、気功教室を運営して老若男女に気功を指導しています。「気功」と「セックス」、どこでどのように結びつくのかな、と思われるかもしれません。「房中」の古典である「素女経」という難解な書物の中に、こう書かれています。

 「男女が相補い合うのは天地がお互いに成り立ちあっているようなものである。天地が交流しているから、終わりがなく限りがないのである」  「天地間のあらゆる動きには必ず陰と陽がある。陽は陰をもって変化し、陰は陽を得て通じる。陰と陽は互いに求めあってものごとが進む」

 あらためてこうして読んでみると、陰陽哲学によって語られる世界のすべてが男女のことであるかのように見えてきます。

 セックスというのは、ふたりでする気功です。一人でする気功やたくさんの集団でする気功とおなじくらい大切なもので、もっと大いに論議されてもよさそうなものですが、あまりされてきませんでした。というのも、「セックスという気功」のありかたを文化教室や地域の講習会で実習して研究してみるというのもなかなか難しいし、そうした指導のできるリーダーも事実上いません。ニューヨークで活動しているマンタク・チアは伝統的なタオのセックス・エナジーのコントロールを現代のアメリカ人に分かりやすく伝えていて人気がありますが、彼にしても今日の状況のもとでの性気功のありようについて方向を示せているとは思えません。

 性気功と呼ばれる中にはおびただしい種類があって、とても紹介しきれませんし、複雑な訓練を必要とするので、ここでは紹介できません。その前段の誰でもできて、しかも実践的な効果を期待できる方法として「会陰呼吸法」を紹介しましょう。

 姿勢を正して座り(あくらでも、椅子でもよい)、息を吸うときに肛門を引き上げて、会陰の裏に、ピンポン玉くらいの気の玉が、おへその裏まで吸い上げられるようにイメージし、ちょっと息を止め、吐きながら気の玉が落ち、肛門がゆるむ、これをできるだけ安静状態の脳を保ったまま三分から五分続けます。息を吸うときに舌を歯ぐきの裏に貼り付け、肛門を引き上げ、息を止めて気を内部に充実させる実感を得てからゆるめる、のです。これは、「提肛収腹」といってほとんどの気功で要求される基礎的な技法で、男性にとっても、女性にとっても、性感を高め、性的能力を増大させるのに役立ちます。また気を下げてのぼせをとり、脳をすっきりさせるのにも効果があります。これに似た方法で、PC筋トレーニングが話題になっているのは、皆さんご存知だと思います。

 古典の性気功の中に、現代に蘇らせて大いに意味のあるものはたくさんあります。しかし、一番大事なのは、リラックスだと思います。女性を征服し支配したいとか、ほかの男よりいいと認められたいという競争意識やゼツリン願望などの強さのヨロイから開放されなければ、ふたつの生き物がふれあうことによって生ずる豊かな、すばらしい体験の大部分に気がつかぬままに、セックスを繰り返すことになるでしょう。リラックスによってこそ、感受性が高まります。

 そのためにお勧めしたいのは、タッチングです。私は、自分で自分にタッチする様々な方法を編集して、公然とできるマスターベションです、と言いながら気功教室や地域の講習会などで普及していますが、これはそのままよりよいセックスの準備になり得るものです。ふたりでタッチングをし、ふたりで呼吸を合わせてイメージをふくらませたりするのは、特別にセックスのためといわなくても、必ずより深い魂の出会いのありかたにつながってきます。

 1993年に発行された、キース・ハラリーと、パメラ・ワイントロープの『インナー・セックス』(実業之日本社)を読んで、その大部分が気功そのものであるのにびっくりしたのですが、こうしたデリケートなニュアンスと結びつけて房中や性気功や、タントラの知恵を、男女が共に高め合って成長し、癒し合うための「愛の技法」として蘇らせることができたら良いだろうなと、私も常に、考えを深めているのです。




Stanley

Inju

[AGE]忘れました
[STYLE]174cm 64kg スリムで筋肉質
[FAVORITES]現代美術/山歩き/倖田來未/コリンヌ・リシェヌ/吉行淳之介/ウロ・クレー/ドゥビッシー
[SEXUALITY]Bisexual
[PROFESSION]セクシァル ヒーリング TAO/セックスセラピスト(自称)/気功・東洋療法士


TAGS: 恋愛とセックス


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