ＴＡＯ
RENT/レント
前回の「千回キスすれば」が掲載されて間もなく、２人の方からメールをいただきました。映画の題名を教えてほしい、という内容でした。そこで、今回はこの映画のことをお話ししたいと思います。
『RENT/レント』という題名のアメリカのミュージカル映画です。１９９６年２月に初演され、今もブロードウェイでロングラン中の伝説のミュージカル『RENT』の映画化で、２００５年１１月にアメリカで初公開、２００６年には日本でも公開されました。
ジョナサン・ラーソンがこのミュージカルを仕上げたのは１９９０年頃ですが、１９８０年代半ばから表面化してきたエイズによって多くの友人を失っており、自身もその恐怖を感じていたことは想像できます。実際、この頃のエイズ・クライシスは、今では想像できないほどのものです。特にマンハッタンに住む同性愛者たちは、発病への恐怖と世間の偏見の挟み撃ちにあい、地獄の日々を過ごしていたのです。登場する若者の多くがHIV＋であり、死をイメージすることなしには理解不可能な物語なのです。
ニューヨークのイースト・ヴィレッジを舞台に、貧困と病魔、孤独に苦しみながらも限られた生命を燃焼し尽くした若きボヘミアンたちの、１９８９年のクリスマス・イヴから１９９０年のクリスマス・イヴまでの１年間を躍動感いっぱいに綴っています。登場人物の境遇とセクシュアリティも、男性同士、女性同士、女装者と男性、と愛の形は奔放で多角的です。この物語の世界を覆うのは、家賃（RENT）も払えない貧しさの他に、ドラッグ、HIV感染、同性愛、権力者との闘いと多種多様。
絶望的で猥雑で粗野な感じは、ロック・ミュージカルが、でも何かしら希望があるという感じは、ブルース、ゴスペル、タンゴ、サルサなどのさまざまな曲が混在して、画面いっぱいに繰り広げられる素敵なダンスと心に染み入る楽曲の数々によって、ドラマティックなストーリーが紡がれていきます。ときにはダイナミック、ときにはロマンティック、ときには洒脱な意匠に彩られ、私は最高にシュールな感動を味わいました。
主要なキャストがステージに並び、“Seasons of Love"を歌う。
皆「５２万５６００分/５２万５０００の貴重な瞬間/５２万５６００分/１年を計る基準は何？/昼、夕焼け、深夜、飲んだコーヒー/インチ、マイル、笑い、ケンカ/５２万５６００分という時間/人生の１年をどうやって計る？/愛ではどうだろう/愛で計れるだろうか/愛を数えてみよう/愛で時を刻み/愛の季節を作ろう/愛の四季が巡る」
ジョアンヌ「５２万５６００分/５２万５０００の旅がある/５２万５６００分/どう数えるの？男や女の人生を」
コリンズ「彼女が知った真実、それとも彼の涙/彼の旅立ち、彼女の死」
皆「大声で歌おう、物語は終わらない/友と過ごした１年を祝おう」
ジョアンヌ「愛を忘れてはいけない/愛は天からの贈り物/愛を分かち、愛を広めよう/愛で時を刻み」
皆「愛の季節を作ろう」
ジョアンヌ「あなたの人生を愛で計ろう」
『RENT/レント』は私たち皆が共有する人生における２つの重大な問いを投げかけている。まず自分の人生をどう生きるか、次にその人生を誰とどのように過ごしていくか。さらに、生きられる時間が限られているという複雑さが加わる。
この映画の主題歌“Seasons of
Love"で私は涙をこらえることができなかった。映画館から外に出たとき、私の目に映るすべてがこの上もなく美しく輝いて見えた。
Inju
[AGE]忘れました
[STYLE]１７４cm ６４kg スリムで筋肉質
[FAVORITES]現代美術/山歩き/倖田來未/コリンヌ・リシェヌ/吉行淳之介/ウロ・クレー/ドゥビッシー
[SEXUALITY]Bisexual
[PROFESSION]セクシァル ヒーリング TAO/セックスセラピスト（自称）/気功・東洋療法士
