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KAMEYAMA~Ⅳ

「セックスはどうして大事なの?」そんな疑問にお答えする、エロスの伝道師亀山早苗の艶めきコラム。

セックスさえしなければ浮気ではない?

ドラマ『昼顔』が話題になった。もともと婚外恋愛や不倫をしている男女に話を聞いているが、そういう機会がますます増えた。 今、よく耳にするのは、「セックス抜きの恋愛」だ。人妻たちにとって、これは「決して浮気しているわけではない」ので、うしろめたさがないのだという。

「どきどきしたいし、恋心はもっていたい。他の男性に女として見られたい。だけど、セックスしたら、あとで待っているのは別れや、夫バレして修羅場になったりするだけ。だったらセックスなしで恋愛していればいいんじゃないかなと思ってる」

 カオリさん(40歳)はそう言う。結婚して12年、ふたりの子がいる。日常生活は忙しい。だが、40歳を迎えて、ふと気づくと夫とはもう数年セックスしていない。

「それどころか、ときめきって何だっけという日々。子どもたちの世話して、毎日ご飯作って洗濯掃除して、パートにも出て。なんだか自分がどんどんくすんでいく気がしていたんです」

 そんなとき、SNSで偶然、中学の同級生と連絡をとりあうようになった。彼はシフト制の仕事なので昼間、都合が合えばお茶を飲んだりランチをしたりする関係に。手をつないだことはある。だが、それ以上の関係には進んでいない。

「それとなく彼がほのめかしてきたことがあるんですが、『今のところはセックスしない関係のほうが楽しいかも』と言ったら、彼も納得してくれて。キスくらいはいいかなと思っていますが、それも急ぐ必要はない。いつかはセックスするかも、と思っている関係はけっこうエロいような気がしています」

 万が一、夫に疑われても堂々としていられる。夫に彼を紹介することもできる。それはうしろめたさがまったくないからだ。だが、彼への気持ちは「恋そのものだし、本当は彼と身も心もひとつになりたい気持ちはある」のだそう。そんな気持ちを楽しめるだけの余裕がある。

 女性の意識改革はすごい。日々進歩しているのではないかと思うほどだ。つい先頃まで、女性には浮気などできないと言われていたのに、実はできることが実感としてわかった。恋愛と結婚は別だから両立できると言う女性も増えた。

 今度は恋愛と友だちの狭間を自らの意志で楽しむ女性まで出てきたのだ。「ばれたら危険だからしないでおこう」ということではなく、むしろその状態を積極的に選んでいるのだから、これはやはり進歩なのだと思う。

「恋にセックスはつきものだと思っていたけど、セックスしなくても恋は恋なんですよ。お互いに会いたくてたまらない気持ちがあるのだから」 

カオリさんはちょっとせつなそうな表情になった。そのせつなさもまた、恋の醍醐味として受け止めているようだ。セックスをともなう関係こそが恋なのか、セックスしなくても恋は恋なのか、もう少し今後の動向を探っていきたいと思っている。




Stanley

亀山早苗

明治大学文学部卒業後、フリーランスライターとして活動。夫婦間、恋人間のパートナーシップに関する著作多数。女性の立場から、男女間のこまやかなコミュニケーションのひとつとしてセックスを重要視する。 亀山早苗公式サイトはこちら・カフェ・ファタル


TAGS: 亀山早苗 - セックスレス - 不倫 - 恋愛


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