KAMEYAMAⅣ~vol.03 女の浮気

 

浮気相手を自宅に引き入れ、あげく夫に現場を目撃された女性芸能人の話があった。その話に関連して、40代の親しい女友だちが言った。

「私は自宅に浮気相手を入れる気持ちがわからなくはないの。彼女にとって、浮気相手はたいした相手じゃない。ばれて困るような恋愛だったら、家には入れないと思う」

ほう、そういう考え方もあるのか、と私は目から鱗が落ちる思い。

「じゃあ、その芸能人が、というわけじゃなくて一般論で、そういうことをする女性は、現場を見ても、夫なら許してくれると思ってるのかな」

と私。

「たぶんね。だって肉体だけの関係なんて、たいしたことじゃないもん。夫婦の愛情が確かなら、体だけ別の人に貸したって愛情が壊れるはずがない」

そこで夫とは感じない、とてつもない快感を覚えたとしても、夫への愛情はまったく薄れないのだろうか。

「薄れないでしょー。あれはスポーツだと割り切ってれば」

そうかなあ、と私は思う。絶対的ともいえるような快感を与えてくれた男に、何ら情は移らないものかしらん。

「情は移ったとしても、夫への愛情とは違うはず。私はあなたを愛してるから、男を家に引き入れたのよ、愛してなかったら別の場所でしたわって言えばいい」
それで納得する男がいるか?

「あー、でも僕、ちょっとわかります、それ」 と30代独身男が割って入る。

「もし彼女が他の男性とセックスしてしまったとしても、『愛しているのはあなた。あれはスポーツだったの』と言われれば、僕なら納得しちゃうかもしれない。それで彼女への気持ちが変わることはないような気がする」 現場を見てしまったら、そのショックから立ち直るのに時間はかかるかもしれないが、それでも彼女が体だけの関係と言い張ってくれれば、それを信じるのだそう。

ふうん……。浮気に関して、どういう考え方が一般的なのかはわからないが、斬新な意見が相次いだ。

私は、浮気であれば、むしろパートナーには隠したほうがいいと思っている。不必要に相手を苦しめることはない。だが、そういうのは、もう古い考えなのだろうか。相手が他の異性とセックスしていることなど、たいしたことではないと言い切れる人が増えているのだろうか。悩んだ夜だった。

 

 


著者:亀山早苗
明治大学文学部卒業後、フリーランスライターとして活動。夫婦間、恋人間のパートナーシップに関する著作多数。女性の立場から、男女間のこまやかなコミュニケーションのひとつとしてセックスを重要視する。 亀山早苗公式サイトはこちら・カフェ・ファタル

復讐手帖─愛が狂気に変わるとき 亀山早苗(著)

発売日: 2017/9/22
亀山 早苗 (著)
男の裏切り、心変わり…別れた男、不倫相手、夫…行き場を失った女の想いが向かう果て。ボンド、下剤、剃毛、暴露、破壊、尾行…実録!復讐劇の数々。