KAMEYAMAⅣ~vol.06 DVは愛ではない!
これだけDVの情報が流れているのに、いまだDVにあっている女性は多い。最近は男性も多いのだけれど。
「でも、暴力ふるう男かどうか、最初の段階ではわからないんですよ」
歴代の恋人に、やたら暴力をふるわれてきたというカオリさん(仮名・33歳)が言う。彼女はなんと、DV男から逃れるために、九州から大阪、そして東京へと流れてきた。
些細なことでモノに当たったり、気に入らないことがあるとドアを激しく開閉したり、あるいはやたら舌打ちが多かったり、ふだん、ものすごく自分を抑圧しながら生きているタイプだったり……と、私はいくつか例を挙げた。そもそも、暴力をふるう男は、日常的に相当抑圧された生き方をしているはずだ。もともと穏やかな性格なのか、抑圧しているから穏やかなのかは、じっくり観察していればわかるはず。
「そういえば大阪の男は、何かあるとドアをばたんばたん閉めたり、壁を殴ってたりしてた。でも、それはストレス解消の方法だと思っていたんですよね」
彼女がドアや壁に取ってかわるまで、それほどの時間はかからなかったという。
だが、問題はここから。暴力をふるったあと、彼は彼女を抱きしめ、これ以上ないくらい優しいセックスをする。だから、つい、「今回のことは」と目をつぶりがち。そして暴力はエスカレートしていく。
「一度手を出したら、自分でも歯止めが効かなくなりそうで怖い。だから、彼女とケンカしたら、とりあえず外に出て頭を冷やす」
と言った男がいる。彼は短気なほうなのだが、そうやって理性を保つことができるし、それが一般的な男のありようだと思う。自分の力の強さをわかっているからこそ、手は出さない。
だがあっけなく手を出す男は、どこまでもエスカレートしていく。そして、「愛してる。誰よりも愛してる。だから僕を捨てないで」という気持ちから、優しいセックスを繰り返す。
「私がいないと、この人はダメになってしまう」
その思いが問題を悪化させる。そんな男からは、さっさと逃げるしかない。そして、暴力をふるわない男を探すべきだ。何がどうひっくり返っても、DVは愛ではない!
「次こそはそうします」
カオリさんは笑顔を見せたが、彼女は、つい男を責めたり、答えに窮するようなことを言ってしまうタチらしい。しかも口べたな男に惚れがち……。
うーん、大丈夫かなあ。ちょっと心配になっている。
著者:亀山早苗
明治大学文学部卒業後、フリーランスライターとして活動。夫婦間、恋人間のパートナーシップに関する著作多数。女性の立場から、男女間のこまやかなコミュニケーションのひとつとしてセックスを重要視する。 亀山早苗公式サイトはこちら・カフェ・ファタル
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