KAMEYAMAⅣ~vol.04 「男キライ」と公言する女たち

 

最近、私の周辺では、20代から60代に至まで「男、キライ」と公言してはばからない女性たちが増えている。ひとくくりに「男」と言ってしまうのは乱暴な気がするが、彼女たちにしてみれば、「男の存在そのものが鬱陶しい」らしい。個人としての男ではなく、男という存在が嫌だというのだ。

私は男尊女卑の時代に育ったわけではないけれど、子どものころを思い起こせば「男のくせに」「女のくせに」という言葉がまだ平然と使われてはいた。そういう従来の男らしさ女らしさにこだわっていた時代に育ったのならいざ知らず、今の30代から下の世代までもが、なぜそこまで男を嫌うのか。

「社会人になって、男って本当に嫌な生きものだと思うようになった」

と就職して3年たつマミさん(26歳・仮名)は言う。会社の中で、上にへつらい下に威張る男たち。さらには男同士の嫉妬、陰口などを見聞きするにつけ、「男の本性ってこういうものか」と幻滅したのだという。

それはその環境にいる男たちが,似たもの同士になっているだけかもとかばったのだが、彼女は毅然と首を振った。

「別の会社にいる女友だちも同じようなことを言ってますよ。だから男って、会社の中で友だちができない。うちの父を見てもそう。会社ではこういう男どもの一員なんだろうなと思うと、家で威張り散らすのは、会社でのストレスかとよくわかる」

男は会社が人生のすべてになりがちだからなあと、私は内心つぶやく。

「もちろん女性の上司だって変な人はいますよ。だけど、ものすごく仕事ができて人間的にも尊敬できる人もいる。率から言ったら、すばらしい上司は女性のほうが多い。女はオンとオフの切り替えも上手だし」

女性の目は鋭い。女性で出世していく人はまだ少ないけれど、確かに役付の女性には人間的にも素敵な人が多い。しがらみがない分、仕事の仕方も大胆。決断も早い。男だったら、妙な根回しを考えるところを、女性は考えない。即決、そして責任は自分にあると明快。「女性は共感するのが得意だから、部下の気持ちもわかってくれる人が多い」

男性社会の中で、男たちが小さな諍いを繰り返したり、あるいは男ばかりだからとぬくぬくしているうちに、女性たちは男に見切りをつけている。仕事で男の本性を知った女たちは、男と恋愛することなど考えられなくなっていくのかもしれない。

このままだと、男と女はますます乖離していって、いつかわかり合おうとする気持ちさえなくしてしまうかもしれない。

 

 


著者:亀山早苗
明治大学文学部卒業後、フリーランスライターとして活動。夫婦間、恋人間のパートナーシップに関する著作多数。女性の立場から、男女間のこまやかなコミュニケーションのひとつとしてセックスを重要視する。 亀山早苗公式サイトはこちら・カフェ・ファタル

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