KAMEYAMAⅣ~vol.08 発情期はいつ!?

 

同世代の友人たちと話していると、どうやら人は一生に何度か、「とんでもない発情期」があるようだと感じてならない。

私は20代後半と40代前半だった。20代後半は、セックスが楽しくてたまらなかった時期。27歳で結婚したのだが、その前、一緒に住んでいた2年間は、朝晩、欠かさずしていた。結婚後も、それほどペースは落ちなかったが、30歳で離婚。

以来、恋したりしなかったりしながら40代に突入。ここで火がついた。20代とは違う肉体的快感を知ってしまったら最後、どうにもならないくらいしたくてたまらない。手当たり次第に男を求めていた数年があった。

恋とか愛とか、そんなことはどうでもいい。相手の身元も素性も関係ない。ただ、セックスしたいのだ。あの快楽に身を任せたい。そんな思いだけがあった。

「私も40代前半がすごかった」

そう言う人もいれば、30代がいちばんしたくてたまらなかったという人もいる。結婚や出産に関係なく、こういう「とんでもない発情期」があるようだ。もちろん、それが来ない人もいるかもしれないし、結婚して子どもも手が離れた時期に来る人もいるかもしれない。

恋心もないのにセックスなんかできないという人は、それでいいと思う。だが、恋や愛情と離れたところでセックスしている人間もいるし、それはそんなに珍しいことでもないのだと思う。私がその時期、精神的に荒んでいたのかというと、そんなこともない。ただ、体が止まらなかった。それだけだ。

そして、そんな経験も悪くはなかったと、今になって思う。

「あの頃、私、したいしたいオーラが出ていたんだと思う。モテたことなんてなかったのに、あの時期だけは男に不自由しなかったもん。まあ、こっちが恋したいわけじゃなくて、やりたいだけだから、やりたいだけの男が寄ってきたんだと思うけど」

友人はそう言って、がははと笑った。互いにセックス目的であれば、それはそれなりに割り切れるものなのかもしれない。

「いつの間にか、ただひたすらしたいという気持ちはおさまったわね。今は、添い寝くらいでいいかもしれない。男友だちは増えたけど、肉体をさらすのはもういいやって感じ」

私も半分、同意する。あとの半分は、またあの嵐のような性欲に巻き込まれてみたい気持ちも残っている。人間は(私は)、懲りないものだと思いながら。

 

 


著者:亀山早苗
明治大学文学部卒業後、フリーランスライターとして活動。夫婦間、恋人間のパートナーシップに関する著作多数。女性の立場から、男女間のこまやかなコミュニケーションのひとつとしてセックスを重要視する。 亀山早苗公式サイトはこちら・カフェ・ファタル

人はなぜ不倫をするのか 亀山早苗(著)

発売日: 2016/8/6
「人はなぜ不倫をするのか」。きっと少なくない人が、その答えを探している。本書はこの問いかけを第一線で活躍する8名の学者陣にぶつけた本だ。「ジェンダー研究」「昆虫学」「動物行動学」「宗教学」「心理学」「性科学」「行動遺伝学」「脳」。さまざまなジャンルの専門家が、それぞれの学問をベースに不倫を解説する。