エロスの伝道師亀山早苗連載・男と女、結婚とセックスレスについてのコラム。 |
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前回、登場したAさんの話を続ける。
彼は「自分を男として見てくれる女」を恋人にする。そして結婚と離婚を繰り返してきた。外に女性がいながら、家庭生活を維持していたこともある。
「自分でも明らかに彼女とのセックスと妻とのセックスは違っていたなと思う」
どう違うのだろう。
「妻とはやっぱり義理という感じかなあ。あんまりしないのも疑われるんじゃないかとか、ごくまれに妻からなんとなく寄り添ってきたりすると、そのままエッチになだれこんだり。でも簡単に愛撫して、正常位で入れて適当なところで終わる。そんなパターンだった。酔って帰って急にしたくなったときなんて、妻のパジャマの下半身だけ脱がせたこともあった。気が入ってないんだよね」
ところが彼女とのセックスになると、彼は人が変わったように張り切っていた。
「キスから始まって前戯もしっかり。彼女の反応を見ながら、感じているならもっと感じさせたい、新しい性感帯も見つけたい。もっともっと、という感じでこっちも努力せずにがんばっちゃう。目隠ししたり手を縛ったりするくらいのことも、恋人関係ならできるんですよね」
より感じさせたい、自分も感じたい。だからセックスも念入りになる。
なのに、日常生活をともにするようになると、手抜き、マンネリのセックスになる。
「いつでもできると思うからかも。恋人とは今度いつ会えるかわからないという、ちょっとした緊迫感がある。それにお互い、どこかに遠慮がある。だから恥じらいが生まれる。だけど夫婦って、その恥じらいをなくしてしまう関係なのかもしれません」
言葉遣いにも仕草にも、確かに遠慮がなくなるのが夫婦。
それが家族としての安心感にもつながるのだろうけれど、
家族からエロスは生まれない。
というわけで、ようやく生活をともにしないほうが長続きすると悟った彼は、今の恋人をもっと感じさせるために現在、がんばっている最中。
「だけど僕も弱いから、彼女に『結婚したい』とせがまれたらわからないなあ。あるいは僕が寝込んだりしたときに看病してくれたら、不安感から結婚しようと言ってしまいそう」
夫婦になっても恋人同士のときのような刺激的なセックスを続けることは、不可能なのだろうか。彼と私は顔を見合わせて、大きなため息をついた。
ラブリーポップ
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プロフィール |
亀山早苗
明治大学文学部卒業後、フリーランスライターとして活動。夫婦間、恋人間のパートナーシップに関する著作多数。女性の立場から、男女間のこまやかなコミュニケーションのひとつとしてセックスを重要視する。
亀山早苗公式サイトはこちら・カフェ・ファタル
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