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エロスの伝道師亀山早苗連載・男と女、結婚とセックスレスについてのコラム。

第10回 恋をしてしまったら




それは高校の同窓会で会った、昔好きだった男性。40代も半ばになると、家庭も仕事も落ち着いてきて余裕が出てくるのか、同窓会が多くなる。A子さんも、それまでは出られなかったのだが、下の子も高校を卒業し、ゆとりができたので参加してみた。


「私、北陸地方の出身なので、実感に帰りがてら同窓会に出ました。ひとりで家をあけて一泊するなんて初めてじゃないかしら。すごく自由になった気がしましたね」


解放感も手伝ったのか、同窓会でははしゃぎすぎてしまったと言う。


「昔好きだったKくんに向かって、『私、本気で好きだったのよ』と言ったんです。彼はその場では受け流してくれたけど、帰り際、耳元でこっそり『オレも好きだった』と。心臓がどきん、としました。何十年ぶりかで」


その場で携帯電話の番号とアドレスを教え合った。その日は仲間と夜中まで話し込んだが、東京に戻るとすぐ、彼から連絡があった。彼も東京在住だった。


「メールのやりとりをするようになりました。今度、飲みに行こうという話はするんだけど、彼は仕事が忙しいし、私も夜はそう簡単には出られない。そんな状態が3ヶ月ほど続いているんです」


彼への思いは募る一方。ここで会ったら、おそらく何ごともないということはないだろうと彼女自身、想像している。


「夫とはもうただの同居人みたいなものです。たいして年は変わらないのに、夫はどう見てもただのおっさん、でも彼はメタボにもならずかっこよかった」


彼の妻からみれば、彼も「ただのおっさん」かもしれないが、他人の目には「いい男」に映る。そこが恋の不思議なところだ。


今、彼女は彼に会おうかどうしようか本気で迷っている。恋心は止められない。だがそれが現実の生活に入り込んできたとき、自分がどうなるかわからない。


「夫とは盆暮れセックス。年に数回しかしません。たいして感じるわけでもないし。でも彼のことを考えると、それだけで濡れてきちゃうんです」


会ったらもう元には戻れない。わかっているだけに迷うのだろう。彼女がどうするのか、会ったら連絡をくれるという言葉を信じて待っているところだ。





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プロフィール
亀山早苗
明治大学文学部卒業後、フリーランスライターとして活動。夫婦間、恋人間のパートナーシップに関する著作多数。女性の立場から、男女間のこまやかなコミュニケーションのひとつとしてセックスを重要視する。 亀山早苗公式サイトはこちら・カフェ・ファタル
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バックナンバー
第1回 セックスレスになるきっかけ
第2回 満たされない男の行き場は・・・
第3回 風俗に行く男の心理とは
第4回 結婚したとたんにセックスレスに
第5回 マンネリセックスはなぜ起こるのか
第6回 マンネリセックスは打破できるのか
第7回 夫の行動が怪しい!?
第8回 仲のよすぎる夫婦
第9回 夫とだけはしたくない
第10回 恋をしてしまったら
第11回 夫の浮気が発覚して
第12回 夫の浮気、そして私の・・・
第13回 妻と恋人、求めるものが違う
第14回 妻と恋人、セックスの違い
第15回 セックスレスの裏に潜む感情
第16回 自分らしく生きるために
第17回 夫への積年の恨みパートⅠ
第18回 夫への積年の恨みパートⅡ
第19回 夫たちの孤独

第20回 家庭に居場所のない男たち
第21回 年の差婚の落とし穴Ⅰ
第22回 年の差婚の落とし穴Ⅱ
第23回 夫婦だからこそできること
第24回 夫婦だからこそできることⅡ

亀山早苗 著作リスト





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