結婚して5年たつ30代のA子が、あるときため息をつきながら言った。
「最近、夫の行動が何か怪しい」
どこがどうおかしいといった確証はない。
夫が寝静まったあと、携帯を覗いてみたが、
女性から個人的なメールが来ている様子もない。
「だけど」
と、彼女は言う。
「週末は休みなのに土曜日の出勤が増えた。
部署を異動したばかりだからしかたないと思っていたけど、
土曜日は車で会社に行くこともある。なんだか不自然なのよね」
目に入れても痛くないほどかわいがっていた3歳半の娘との
コミュニケーションも減った。これに関して、夫は
「急に自己主張を始めた娘にどう対処したらいいかわからない」
と釈明しているらしい。
つまり、夫が浮気しているという証拠は何もない。
だが、彼女は怪しいと言い張っている。
「ときどき、ふっと心ここにあらずというときがある。
仕事のことを考えている表情とはちょっと違う。
結婚して5年だけど、つきあった期間は7年。
12年も一緒にいたのだから、彼のことは私がいちばんよくわかる」
考えすぎよ、と言うべきなのだろうが、こういうときの妻の直感というのは、当たっていることが多い。
「夫が浮気しているときってね、『ただいま』と帰ってきた、
その声の様子で、『あ、女と会ってきたな』ってわかるのよ」
ベテラン主婦がそう言っていたことがあった。
女の勘というのはびっくりするほど鋭い。
A子は、今のうちに夫の目を家庭に引き戻したいと真剣な表情で訴えた。
「徹底的に調べて、確実な証拠を手に入れたほうがいいかしら」
今の段階で、それはどうかなと私は思う。
人は居心地のいい場所に戻りたがる。
楽しいことを経験すると、さらにそれを欲するようになる。
共働きで大変なのはわかるけど、夫の好物をちょっと用意してあげるとか、
「太陽政策」でいったほうがいいんじゃないかと言ってみた。
別れたいならいざ知らず、今はまだほじくり返す時期ではない。
「ああ、家庭っていいな」
夫にそう思わせるような工夫が必要なのではないか。
甘いと言われればそれまでだが。
ラブリーポップ
メールマガジンに登録しちゃおう コチラから!
|