KAMEYAMAⅠ~vol.23 男を馬鹿にする女が増えた!?

大人になってから(って最近のことだが)わかったことだが、恋愛相手(たとえそれが短期間の恋でも)に対する 「敬意」というのは必要だ。それは実は恋愛相手に限ったことではなく、人への最低限の敬意、というものが今の世の中、失われているという気がしてならない。

ここでは恋愛に絞って書くけれど、どうも最近、男を馬鹿にしている人が多いような気がするのだ。
表面上、男を立てているように見せながら内心は馬鹿にしているので、きっと男には伝わりにくいと思う。

言いたいことを言いながらも、心の底で彼のことを愛しいと思っている女性の言葉には、やはりどこかに愛がある。だが心の底で
男を馬鹿にしている女性の言葉には、毒がある。一見、仲がよさそうに見えながら、ふとしたときに、

「彼のやることはまったく信じてないから」

と言った女性がいて、驚いたことがある。では彼の仕事ぶりや考え方など、どこか敬意を覚えているところがあるのかと尋ねると、
それもまったくないという。そんなに信じられない男と、どうしてつきあっていられるのか、どうしてセックスできるのかが不思議でしかたがなかった。

「私に対して優しいし、彼がいないという状態も寂しいから。エッチのときは尽くしてくれるし」

しれっと彼女は言った。彼女は、特に高慢な女性ではない。女友だちに対してわがままでもない。
だが、彼氏に対しては常に上から目線なのだ。いろいろ聞いてみると、両親は彼女が子どものころ離婚し、母親に「男はろくでもない生きものだ」とすり込まれて大きくなったらしい。
だから根本的に、男は馬鹿にしていいものだと思っている。しばらくして彼女に会うと、彼とは別れたと言う。

「別れ際に言われた。『おまえはずっとオレのことを馬鹿にしてただろう』って。
いつか自分の愛情に気づいてくれると信じていたけど、結局、報われなかったって」

3年間の恋愛にピリオドを打たれたわけだ。だが彼女は特に反省するでもなく、

「もっといい男、見つけて見返してやる」

と張り切っていた。

ケンカしたり意見が食い違ったりしながら、男女はお互いをわかりあっていく。
だが、根本的なところで「人への敬意」をもてないままでは、決して恋愛はうまくいかないと私は思っている。


著者:亀山早苗
明治大学文学部卒業後、フリーランスライターとして活動。夫婦間、恋人間のパートナーシップに関する著作多数。女性の立場から、男女間のこまやかなコミュニケーションのひとつとしてセックスを重要視する。 亀山早苗公式サイトはこちら・カフェ・ファタル

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