KAMEYAMAⅠ~vol.22 どうやって誘ったらいいかわからない男たち

「Hしたいけど、どうやって誘ったらいいかわからない」

20代の男性たちから、よくそういう声を聞く。

「キスしたいとき、『キスしていい?』って聞いたほうがいいんですよね」

これは30代。おいおい、中学生じゃないんだから、
そんなことはその場で自分で判断しろやと言いたくもなる。

「空気が読めない」なんて言葉が流行ったときは、
嫌な言葉だなと思ったが、こと恋愛初期の微妙な場面では
「空気読めよ」と男性に突っ込みたくなる女性も多いのではないだろうか。

電通総研が昨年、23歳から49歳の独身女性を対象におこなった調査によると、7割が「恋人はいない」と回答したそうだ。
恋愛に興味がない女性が増えているということかもしれない。

こと30代に絞れば、私の周りでは「男は懲り懲り」と断言している女性は多い。それは冒頭に言った男性たちのつぶやきと関係があるのではないかと思っている。

付き合ってはみたが、まったく手を出してこない、 その気配も感じられない男に対して、女性だってどう接していいかわからないだろう。

「あんまり誘ってこないから、こっちから自分の部屋に誘って雰囲気を作ったのに、結局、彼は何もしないまま。目が覚めたらいなくなっていた」

なんていう話さえ聞いたことがある。
一方の男たちは、 「部屋に誘われたからといって、彼女がOKしているとは限らない。もっと明らかなサインを出してもらえれば」とほざいている。
これ以上、明らかなサインをどうやって出せと言うのだろう。いっそ襲ってしまうしかないということか。それはそれで、「最初から襲ってくるような女は嫌だ」と男たちは思っている。これでは、男女が親しくなるとか、目と目が合って恋の炎が燃えてとか、そういうことは遠い昔の話になるだけだ。

「恋なんて失敗してなんぼ。傷ついてなんぼのもんだから、好きな女性にはがんがん行って玉砕してきなさい」

私は男性たちにはそう言うことにしている。
だが、それを実行したという話はついぞ聞いたことがない。

そしてまた、相談が来るのだ。

「つきあって3ヶ月になる彼女がいるんだけど、そろそろキスしてもいいでしょうか」

したいならしろーと私は声を荒らげる。


著者:亀山早苗
明治大学文学部卒業後、フリーランスライターとして活動。夫婦間、恋人間のパートナーシップに関する著作多数。女性の立場から、男女間のこまやかなコミュニケーションのひとつとしてセックスを重要視する。 亀山早苗公式サイトはこちら・カフェ・ファタル

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