KAMEYAMAⅠ~vol.13 セックスの相性 サイズ問題part2

 

サイズ問題はさらに続く。ひとりが言った。

「私、前につきあっていた人が、とっても小さかったの」

とっても小さいといってもどのくらいなのか。大きな人とばかりつきあってきたから、彼のが小さく見えたのではないか。すると彼女は右手の小指だけを立てた。

「まさかあ」

あとの3人が大声を出す。

「いや、ほんと。ほんとなんだってば」
「通常時のサイズじゃなくて勃起時は?」
「だから、それがこれなの」

彼女、もう一度小指を立てる。あとの3人は絶句した。

「彼のこと、本当に好きだった。 一緒にいてあんなに楽しい人はいなかったわ。だから私、1年がんばったの。セックスさえ我慢すればいいんだもの。だけど好きだからこそ、せつないのよね。彼とのセックスで感じられないことが」

わかるわかる、と私たちは頷いた。
「小指」が誇張だとしても、あまりに小さすぎるとやっぱり感じないものなのだ。

女同士の言いたい放題なので、まだまだサイズ問題は出てきた。たとえば膨張率。

「膨張率が悪いとがっかりするのよ。 最初に見て、きゃ、大きいと思っていたら、勃起してもサイズ変更なし。ちょっと寂しいわ」
「膨張率より固さのほうが問題でしょ」

そうそう、固さは重要。
これもまた、女性によって好みがあるようで、キンキンに固くなってどうにもならないようなものが好きだという女性もいる 。

私は常に「アルデンテ」と公言している。
芯がしっかりしていて、でも表面は多少の弾力があったほうがいい。自分の中に入ってきたとき、しっくりくる感じがするから。入れられているのに包み込んでいるような感覚が好きなのだ。

「形もあるよね。私はカリが張りすぎているのはだめ。ひっかかる感じが不快だから。男はカリが大きいと自慢げだけどね」

1人がそう言う。ひっかかる感じが好きだという女もいるだろう。
女性たちはいつの間にか、経験則ができていくのかもしれない。それが自分の「好みのサイズや形」として脳に蓄積されていくような気がする。


著者:亀山早苗
明治大学文学部卒業後、フリーランスライターとして活動。夫婦間、恋人間のパートナーシップに関する著作多数。女性の立場から、男女間のこまやかなコミュニケーションのひとつとしてセックスを重要視する。 亀山早苗公式サイトはこちら・カフェ・ファタル

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