KAMEYAMAⅠ~vol.15 セックスの相性~話し合いは有効か?

 

わからないことは聞けばいい、と私は常々思っている。
一般的な恋愛論は男女関係では通用しない。あくまでも、この関係は「あなたと私」の関係であり、相手が変われば
会話の内容もセックスのやり方も変わるかもしれないのだから。

「相性のよしあしって、結局、ふたりで気持ちよくなることができるかどうかということでしょ。だったら私はそれとなく相手に伝えることが大事だと思う」

そう言うのは30代半ばのA子。好きな相手なら、セックスが合わないからとすぐに別れるのももったいない。
まずは「合わない」と感じるのはなぜかを分析するのだそう。

「たとえば彼の愛撫の力が強すぎるなら、その場で『もうちょっと優しくして』と言ってみる。前戯が足りないなら、『もっと~』と甘えてみる。そういうことが通用する相手なら、相性が悪いと考えるのはやめて、お互いに努力していけると思う」

なあるほど。若かりしころ、私も相性が悪いと一度で会わなくなった男がいたが、ひょっとしたらもったいないことをしてしまったのかもしれない。

「よくセックスについて話し合うなんて言うけど、正面切って話し合うのはむずかしいですよね。だから私はしている最中に言うのがいちばんいいと思う。そうしているうちに、ふだんでもさりげなく性の話ができるようになるかもしれない」

A子はそう言う。互いに違う性をもっているのだから、相手を「わかった」気にならず、セックスしながら少しずつ互いの好みを知っていくことが大事なのかもしれない。

女性は、その日によって「したいセックス」が変わることもある。
じっくりねっとり愛撫されて、愛されている実感を得たいときもあれば、野獣になりたいときもある。少なくとも、私はそうだ。

そんなときは言葉にするのも野暮なので、自分から雰囲気を作ればいいのかもしれない。
じっくりしたいときは自分からじっくり愛撫してみる、激しいセックスを求めているときは自分から抱きつき、相手の服を脱がせて激しく迫ってみる……。その雰囲気を感じて反応してくれるような男なら、多少の相性問題には目をつぶることができるだろう。

 


著者:亀山早苗
明治大学文学部卒業後、フリーランスライターとして活動。夫婦間、恋人間のパートナーシップに関する著作多数。女性の立場から、男女間のこまやかなコミュニケーションのひとつとしてセックスを重要視する。 亀山早苗公式サイトはこちら・カフェ・ファタル

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