KAMEYAMAⅠ~vol.14 性の相性~心と技術

 

相性とは、もちろんサイズだけの問題ではない。
挿入時ならフィット感が大事だという人もいるし、むしろ、「それ以外の雰囲気や感覚」を重視する人も多いようだ。
セックスとは挿入だけのことを言うわけではないから、トータルとして相性がいいかどうかという問題にもなる。

「私はたっぷり前戯してもらわないと、なかなかその気になれないから、挿入を焦る男はイヤ」

「自分だけしてもらったら、相手を愛撫しないままに入れたがる男って多いよねえ」

「最近、マグロ男、本当に多い!」

不満はとどまるところを知らない。
男はセックスが下手になっているというのが多くの女性たちの声だ。
草食系男が増えているというが、自分のセックスに自信がもてずに草食系にならざるを得なくなっている男もいるのかもしれない。

「たとえば彼の部屋に初めて入って、DVDなんか観てて怪しい雰囲気になる。あ、来るなと思っていると、いきなりブチューってキスしてきたりするの。手が触れて,髪を撫でて肩抱き寄せてという手順を踏まない。最初のエッチで手順を踏まないなら、今後はどんどん手を抜くのが目に見えてる」

 

20代後半の女性はそう嘆く。
こういう男とは「相性がよくない」と思ってしまうそうだ。結局、コミュニケーションがとれない男なんだとそこで判断せざるを得ない。

女の体や心をよく知らないというのもあると思う。男性の単純な性と違い、女性は性欲を感じてから、実際の行為で快感を得るまで時間がかかる。もっといえば、「気持ちは感じているし興奮しているけど、なかなか濡れてこない」ということもある。だが男は濡れている=感じていると考えてしまう。

濡れていないと男は焦り、さらに激しく力を入れて愛撫する。力の強さに女性はどん引き。結局、セックスは後味の悪いものとなる。こういったセックスの技術的な相性の問題は、女性にとってみれば「コミュニケーションをとらない男」だからだということになり、好きな気持ちが萎えていくことになりかねないのだ。

女性の性は、自分で思っている以上に複雑なのかもしれない。


著者:亀山早苗
明治大学文学部卒業後、フリーランスライターとして活動。夫婦間、恋人間のパートナーシップに関する著作多数。女性の立場から、男女間のこまやかなコミュニケーションのひとつとしてセックスを重要視する。 亀山早苗公式サイトはこちら・カフェ・ファタル

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