KAMEYAMAⅡ~vol.22 年の差婚の落とし穴Ⅱ

 

女性が年上の結婚も、ようやく増えてきつつある。先日、とある会で話した紀代さん(47歳)も、5年前に、当時23歳の男性と再婚した。

彼女は学生時代の21歳の時、できちゃった結婚をしたが5年後に離婚。娘を女でひとつで育てた。その娘は大学2年からアメリカに留学。結局、向こうの大学を卒業して就職した。いずれ日本に帰ってくるとは言っているらしいが、紀代さんは「彼女の人生だから、好きなようにすればいい」と思っている。

今の夫のことは、彼が高校生のときから知っていた。紀代さんが仕事で知り合い、意気投合してプライベートでも友だちとしてつきあうようになった女性の息子なのだ。

「 自分に息子がいないから、ちょっとシャイでかわいい彼をからかったりして。そのうち、彼からごはん奢って』なんて電話がかかってくるようになったんです」

まさか男女の関係になるとは、自分でも思ってもいなかった。
だが、男と女は何が起こるかわからない。彼が大学に合格したとき、彼女は「何でもほしいものをプレゼントしてあげる」と言った。
彼の答えは「紀代さん」だった。

「冗談だと思って笑い飛ばしたんだけど、彼は怯まなかった。毎日口説かれているうちに、なんだかかわいそうになってきて。一度すれば二度としたいと言わなくなるだろうと思って、ホテルへ行ったんです」

女の体を教えるようなつもりだった。だが、逆に彼女は彼の衰えを知らない若さに驚かされ、何度も何度も全身を震わせた。離婚してから何度か恋愛はしたが、彼ほど体の相性がいい男性はいなかった。

「彼の母親である女性との関係もあるし、一度だけねと割り切ってるつもりだった。でも、それができなくなっていきました。彼も本気だと言ってくれて、とうとう結婚したんです。彼の母親には最初、かなり責められたけど」結婚して5年。心のどこかに「このままでいいのか」という思いがくすぶり始めていると紀代さんは言う。

「彼は年齢差なんて感じないって言ってくれるんですが、先日、セックスしているとき『あ、白髪見つけた』って。下の毛です。それからなんだか気持ちがめり込んで。彼が気にするなと言えば言うほど、私はつらくなっていくんです」

そろそろ更年期症状が出始めているという紀代さん。
女性が年上のカップル場合、女が年の差を意識したところから、ひょっとしたら溝が生まれるのかもしれない。

 

 


著者:亀山早苗
明治大学文学部卒業後、フリーランスライターとして活動。夫婦間、恋人間のパートナーシップに関する著作多数。女性の立場から、男女間のこまやかなコミュニケーションのひとつとしてセックスを重要視する。 亀山早苗公式サイトはこちら・カフェ・ファタル

 

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