KAMEYAMAⅡ~vol.06 マンネリセックスは打破できるのか

 

夫婦のセックスがマンネリになるのは、ある意味ではしかたのないことかもしれない。
同じ場所で生活をともにし、互いの欠点も知り抜いている。
男として、女としての色気を見せあう場面も、日常生活にはあまりない。
そんなふたりが、相手を性の対象として見られなくなるのも無理はない。

だが、それでも相手を異性として尊重し、夫婦が男女であり続けることは、決して不可能ではないはずだ。

「私たちは、夫婦の秘密としてセックスを楽しんでいます」

40代前半の女性はおっとりした笑顔を浮かべながら言う。3年前、夫の浮気が発覚した。そのとき夫は、謝るどころか、「おまえがオレを男として見ないからだ」と逆ギレした。それから夫婦関係は悪化。だが3ヶ月後、夫が「大事なことだ。話し合おう」と言いだした。

「いつも上から目線の夫が、『オレは男として寂しかった』と率直に言ってくれたんです。確かに私は子どもにかまけて、夫をないがしろにしていたかもしれない。だからといって浮気していいわけじゃないと思うけど。でもそのときは夫に言いくるめられた感じでした。これからはもっと夫婦の時間を大事にしよう、と意見が一致したんです」

中学生の息子が部活動の合宿、小学生の娘が祖父母の家へと行ったとき、夫婦は久しぶりにふたりきりの時間を堪能した。一緒にお風呂に入ると、夫は興奮して攻めてきた。入浴後、夫は妻を軽く縛って手の自由を封印し、目隠しもした。

「私もものすごく興奮しちゃって……。そういえば若いころ、ふたりでそんなふうにセックスを楽しんだこと もあったっけって思い出しました」

それ以来、ふたりは子どものいない時間を見計らってセックスを楽しんでいる。ローションを使ってぬるぬるになりながら、組んずほぐれつということもあるとか。

「私、なかなかイクということがわからなかったんですが、最近はどんどん快感が深まってきて。それと同時に夫への愛しさもわきおこってきた。これから子どもたちが大きくなったら、ふたりでもっと楽しめるねと話しています」

縁があって一緒になったのだから、どちらかが死ぬときまで仲良くしていきたい。 ずっと触れていたい。
彼女がしみじみと言ったその言葉が、心から羨ましく感じられた。

 

 


著者:亀山早苗
明治大学文学部卒業後、フリーランスライターとして活動。夫婦間、恋人間のパートナーシップに関する著作多数。女性の立場から、男女間のこまやかなコミュニケーションのひとつとしてセックスを重要視する。 亀山早苗公式サイトはこちら・カフェ・ファタル

 

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