KAMEYAMAⅡ~vol.05 マンネリセックスはなぜ起こるのか

 

夫婦におけるセックスの悩みのいちばんは、おそらくセックスレス、二番目は「マンネリ」ではないだろうか。

「結婚して14年たつけど、セックスは月に1回くらいがいいとこ。それも夫がその気になったときに、私は仕方なく体を貸す感じが強いですね。夫はワンパターン。左右の胸を5,6回ずつ揉んで、クリトリスをいじって濡れてきたら即、挿入。1分くらい腰を振ったら終わっちゃう。まあ、早いから体を貸してもいいかなって感じかな」

30代後半の女性はそう話してくれた。殺伐とした夫婦関係が思い浮かぶようだが、決して仲は悪くないのだとか。ふたりの子どもたちと家族でよく出かけるし、夫は子どもの面倒見もいい。

「家族としてはとてもうまくいってる。だから男女としてはもういいかと思うんです。でも、バツイチで恋愛している友だちを見ると、ちょっと羨ましいけど。私にはもう女としての充足感はないのかなと思うから」

夫婦というのは不思議なもので、家庭が安定してくればくるほど、男女としての関係は落ち着いてしまう。悪い言い方をすれば、お互いを異性として見ようとしなくなっていくのだ。家庭は「生活そのものの場」だから、無理もない。日常の煩雑さが先で、寝室に行ったからといって急にロマンティックなムードに浸れるわけでもない。

マンネリ化してもしかたがないとあきらめるのも一つの手ではある。家族として幸せならそれでいい、と。

だが、どうしてもあきらめたくない人もいるだろう。家族は家族、だが夫婦は男女としていつまでも新鮮であるべきだ、と。

そんな人たちに私が薦めたいのは、とにかく夫婦ふたりきりの時間を作ること。週末の夜中でもいいし、子どもたちが大きくなっているなら週末の昼間でもいい。そして、恋人同士に一緒に見た映画のDVDを借りてきて一緒に見る。あるいは昔、デートした場所を一緒に歩いてみる。つまり、恋人同士だったころを実感として再現することだ。

こんなこともあった、あんなこともあったとふたりで話しているうちに、今の幸せも実感できる。また、最初にエッチしたときのことなどを話せば、再度、男女としてお互いを見るきっかけになるかもしれない。

昔のようにお金をかけたデートでなくてもいいのだ。ふたりの歴史をきちんと振り返れば、今の生活がかけがえのないものだと思えてくるはず。そして、お互いがかけがえのないパートナーだと心から思えてくるのではないだろうか。

 


著者:亀山早苗
明治大学文学部卒業後、フリーランスライターとして活動。夫婦間、恋人間のパートナーシップに関する著作多数。女性の立場から、男女間のこまやかなコミュニケーションのひとつとしてセックスを重要視する。 亀山早苗公式サイトはこちら・カフェ・ファタル

 

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