エロスの伝道師、亀山早苗の人気連載コラム・セックスや恋愛にからむ男の気持ちについて。 |
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今回から、男性の心と体について、当の男性たちに聞いた話から、いろいろ考えてみたいと思う。なにしろ、女は男になったことがないので、彼らが自分の、そして女性の心と体をどう思っているのか知りようがないのだから。そして、知らないところから齟齬というのは生まれてくるものなのだから。
私の周りの男性たち、三十代から五十代にかけてが多いが、彼らが最近、やたらというのは「立ちが悪くなった」ということ。五十代ならいざ知らず、三十代までそう言うのだ。
「やっぱりストレスって大きいですよねえ。一年半ほど前、会社が倒産したんです。すったもんだしたけど半年前にようやく仕事が見つかった。そのとたんにすっかり立ちが悪くなりました」
守さん(35歳)は愚痴るようにそう言う。興味深いのは「転職したとたん」という一言。倒産時は,社員のケアをしようとしない経営陣に腹を立て、組合を作って活動した。そのころは闘争心が燃えさかっていたせいか、2年つきあっている彼女が悲鳴を上げるほど求めたそう。
「半年前に新しい会社に勤め始めて、まだ人間関係とか仕事とかに慣れてない。毎日テンパッてる。そうしたら、とたんに性欲が失せてしまった。今は朝立ちすら、ほとんどないんですよ」
彼女には、新しい会社で好きな人ができたんじゃないかと疑われる始末。週末は一緒に過ごすことが多いのだが、そんなことでケンカも増えたとか。
「10代から20代の前半にかけてって、本当に性欲だけに振り回されていました。視覚的にも物理的にも。たとえば女の子を見るだけで、あの子とどうにかなりたいと思って立っちゃったり、電車が揺れる振動だけで固くなってきちゃったり。それを人に悟られまいと前を隠すように歩いたこともあります。でも20代も後半になると、少しずつそういう極端な性欲はなくなっていくんです。30代になってからかなあ、精神的なものが性欲や勃起力とものすごく関係しているとわかったのは。先輩たちが『男って情けないよなあ』と言っていた意味を、ようやく実感しています」
若い男性が性欲に振り回されるという話はよく聞くが、けっこう苦労もあるようだ。ところが30代になると、今度は意志があっても肉体が言うことを効いてくれなくなってくる。結局、男はペニスに振り回され続ける人生……なのかもしれない。
ラブリーポップ
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プロフィール |
亀山早苗
明治大学文学部卒業後、フリーランスライターとして活動。夫婦間、恋人間のパートナーシップに関する著作多数。女性の立場から、男女間のこまやかなコミュニケーションのひとつとしてセックスを重要視する。
亀山早苗公式サイトはこちら・カフェ・ファタル
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