KAORU sta ～ vol.13 小さな復讐

“この前は怒ちゃってごめんね。”

浮気相手とセックスした後に、帰りの電車でなぜだかとても空しくなって、大好きな男にメールをした。送信してからすぐに男から電話がかかってきた。

「この前はごめんね。」
「俺、別に怒ってないからさ、今どこにいるの？」
「電車の中」
「プレゼントあるよ。かおるちゃんの家の方向を車で
走っているから、電車をおりて途中の駅で会えるかな？」

あたしは黙り込んでしまった。だって浮気をした帰りだもの。
逢いたいけど、きっと男はすぐに気付いてしまう。アタシの体から他の男の匂いがすることに。哀しくなって、シャワーも入らずにホテルから出てきてしまったんだもの。あたし隠すのが下手なのよ。

「いいよ、無理しないで他の日にしようか？」

男はいつでも優しい。アナタの優しさが残酷だって気付いてた？ホントはね、“この前は怒ちゃってごめんね”じゃなくて“浮気しちゃった、ごめんね”それが伝えたかっただけなんだ。電話なんてしないでよ。それも優しい言葉なんてかけないで。

2003年のホワイトデー。ホワイトデーだからあえてアタシは男に連絡しなかった。
だって、その日は特別な日だから。前の夜にめずらしく男からメールがくる。
“○○の新しいアルバム聞いた？すごく良いよ”明日はホワイトデーなのに、男は全然関係のない言葉を送ってくる。3月14日22時まで待ってメールをいれてみる。“ホワイトデーに電話もメールもしない男なんて嫌いよ。もう優しくなんてしてあげないから”男からすぐにレスがあった。“ごめんよ、ごめんよ。プレゼントは出張行く前にすでに買ってあるんだよ。近いうちに会えるかな？”
何通かやりとりをした後、あたしが怒って、“しばらく会いたくない”そうメールを返したら男からの返事はなかった。次の日も次の日も男からの連絡は無い。寂しくなって浮気をしてみた。

浮気をしても寂しさは埋まらなかったけど、男に小さな復讐をしたような気持ちになって男に優しくできたのは事実。そうやって上手くいくカップルもいるのかもね。
「男遊び」人生に一度はしてみても良いかと思う。だって何も知らないで死んでいくよりも浮気心を知って「浮気心」を許せるような女でいたいと思うから。

もちろん浮気にはリスクと最低限のルールがあるのだけどね。