KAORU sta ~ vol.11 逃げる男
『忙しい』
男が使う最高の逃げ言葉。
女は男を信じたい為に“男の弱さを見たくない為に”「彼は忙しい人だから…..」そう言って、向き合うことを避けている男を 見逃してしまう。女を30年以上も続けていると 大切なことから逃げる男の愚かさに怒るより、相手を失うことを恐れ、 あきらめることの方が多くなる。
“愚かな男”と思いつつ、 「アナタは一体何から逃げているの?」 そう問いかけている私に気付かずに男は私を失ってしまった。
失ってしまったことに気付いたのか、 男が私に電話をしてきた。
「いやぁ~こっちは最近ひまでさぁ~」
「今日も時間があって」…
男はアタシと向き合うことよりも 自分のプライドを大切にしていた。
本当は自分自身の愚かさや弱さと向き合うことから逃げていたことに、男は気付いていただろうか?
二人の間にある溝はアタシにしか見えなかったのだろうか?
男が『忙しく』している間にその溝は河になり、氾濫して取り返しのつかないことになってしまった。
常に自分で自分を『忙しく』している男と 付き合ってはいけない。その男はきっと自分の愚かさから逃げている。自分の頭の中で描いている自画像と大きなギャップのある、現実の愚かで弱い自分を受け入れられない男とどうコミニケーションを取ったら良かったのだろうか?
向き合ってさえくれれば、愚かで弱いアナタでも「ひたむきだから」 と愛せたかもしれないのに。
愚かな男は愚かな自分から逃げるために、 今日も不安という時間に追われている。
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超多忙な人の危険は何もかも忘れてしまう事にある。
しまいには自分が誰なのかも、
自分の歴史も、 はたすべき責任も忘れてしまう。
哲学者 フランチェスコ・アルベローニ
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