WWS ~vol.03 韓国はアジアのラテン?

韓国は、アジアのラテンと呼ばれているらしい。
恋人同士の記念日がいくつもある。特に付き合い始めてから100日目の「100日記念日」が重要で、男性が女性に花束やプレゼントを贈る。忘れるとひどい目に遭うとか。

学生時代、若い韓国人男子に好かれた時は、メール攻撃に身が持たなかった。一日に数十件。「ディズニーランド行こう」「趣味は?」。夜中まで来るので放っておいたら、「どうして返事しないの」と、怒りをぶつけてくる。ぐったりして大学へ行くと、友達が言った。「疲れてるね。私の友達も猛アタックされて、 デートしてくれなきゃ線路に飛び込むって言われたらしいよ。情熱的だわね」。

まるでドラマ。こんな経験初めてだった。
その後、韓流ブームが起こり、「向こうの男性は、力強くて、紳士で優しい」と興奮ぎみに語る知り合いのおばあちゃん。ある韓国人女優は、「兵役を終えると、男性はたくましくなって帰ってくる。日本人は物足りない」とTVで話していた。韓国って熱い人が多いんだ。

 「日本にも優しい人はいますよね。韓国にも、悪い男がいる。ドラマで聞くような甘いセリフを吐く人は、浮気者だと思われますよ」。そう話してくれたのは、韓国人の彼氏がいる日本人女性、Aさん。
これだけ、情熱的といわれているのに?

 「記念日は、お金がかかって面倒くさいと思っている人も多い。今の彼は、シャイ。日本人の元彼のほうがロマンティックだった。兵役の影響?精神的に強くなることがあっても、必ずしも恋愛と結びつくとは限りません」。

 Aさん曰く、日本人が持つ韓国人のイメージは、メディアが作り出したもの。もちろん、彼のことが大好きだけれど、日本人が持つ韓国のイメージには違和感を覚えるそう。
国こそ違えどお隣同士。Aさんの話を裏付けるため、東京に住むアラサー韓国人女性、Sさんと会った。日本も韓国も同じ、という答えを期待していたら、「絶対、韓国人のほうがロマンティックよ」と言う。うーん、どーいうこと。困った顔の私をよそに、彼女は自身の恋愛相談を始めた。ガールズトークで盛り上がっていたら、韓国の意外なお国柄が浮かび上がった。

◆韓国人は世話好き

 背が高くてオシャレな日本人男性と知り合ったSさん。
男性は無口で、デート中はSさんが喋ってばかり。それでも、共通の趣味があったから友人として連絡を取り続けた。沈黙に耐えられないSさんは、話を振り、自分から誘った時はお会計も払い、つまらないメールにも返信した。

 彼は、すっかり勘違い。告白したわけでもないのに、「好きな人がいるから、Sさんの気持ちには応えられない」とメールが届く始末。親切にメールを返すからだめなんだよと言っても、「なんて返事したらいいと思う?」と悩んでいる。どうして、そんなダメ男に優しくするの?

 「だって、韓国では友達が疲れていたらご飯を作ってあげたり、何かやってあげるのが当たり前なの」。それだ!思わず叫んだ 。「ねえ、もしかして韓国人ってお節介というか、世話好きじゃない?」。Sさんは、大きくうなづいた。

 「世話を焼いたり、他人の噂話をするのが大好き。すぐに『まだ結婚しないの?』『子供は?』とプライベートなことを聞いてくる。そうやって聞くことが愛情表現。大人になっても、両親はうるさいよ。その分、誰かにやってもらうことにも慣れてるの。デート代は全部男が払う。日本よりも男らしさを求められて大変かもね。最近は、女性の社会進出で変わってきてるけど。韓国人が来日すると、日本人は冷たいと感じることが多いみたい。慣れると、つかず離れずで丁度良いのに」。

 そういえば、韓国に嫁いだ日本人妻のドキュメンタリーを見た時、日本人は口を揃えて「姑がうるさい」と嘆いていた。キムチの作り方から始まり、家事にあれこれ口を出してくる。それは嫌がらせではなく、「少しでも助けてあげたい」という老婆心。疲れちゃうけど、仲良くしたいし、どうすればいいのと日本人妻たちは苦しんでいた。

アジアのラテンといっても、「きれいだよ」なんて平気な顔して言うラティーノの情熱とは違う。とことん良くしてあげたいという態度が、日本人には珍しく、時に困惑させ、情熱的に映るのかも。メール攻撃してきた彼の行動も、日本人への好奇心からだったのかもしれない。初めての韓国旅行で、「親切な人が多くて驚いた」というのもよく聞く。

と、話をまとめようとしたらSさんが一言。「韓国料理は、味が濃い。日本は薄いでしょ。だから韓国人のほうが性格が濃いのよ。食べ物は、子育てや教育にも影響するって言うじゃない」。

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