KAMEYAMAⅡ~vol.01 セックスレスになるきっかけ

 

今回から「結婚とセックス」について考えてみたいと思う。結婚とセックスで思い浮かぶ言葉はと周囲に尋ねてみたら、「セックスレス」「マンネリ」が圧倒的だった。

夫婦間のセックスレスは、昨年の調査で40パーセントを超えた。
この場合のセックスレスとは、日本性科学会が1994年に定義したところによると、「特別な事情がないにもかかわらず、カップルの合意した性交あるいはセクシュアル・コンタクトが1ヶ月以上ないこと」を指す。「セクシュアル・コンタクト」には、キス、ペッティング、裸でのベッドインなども含まれている。つまりは、相手がいるにもかかわらずスキンシップがまったくないことだ。中には結婚して以来、まったく関係をもたない夫婦もいる。

セックスレスになるきっかけは、「なんとなく」「めんどう」「忙しくてその気になれない」などの理由をよく聞く。せっかく相手がいるのに、単なる共同生活者になってしまうのは、なんとももったいない。

思えば昔は、「セックスしたいから結婚する」カップルが多かった。まだ親の目が厳しく、ラブホも高く、つきあっているふたりがなかなかふたりきりになれない時代でもあった。結婚すれば、誰はばかることなくセックスしまくることができる。そんな思いも結婚に踏み切るひとつのきっかけだった。

今は結婚前にセックスするのは当たり前。そうなると、どうしても結婚したところから「飽き」が始まるのかもしれない。それに加えて、今や共働きも多いから、気持ちにゆとりがない。互いの仕事が忙しくて、気づいたら2ヶ月もしてなかった。そうなると、今さら誘いにくいという面もある。

子どもができれば、セックスレスの割合はさらに上がる。妻は子育てに疲れ果てている。そんなとき夫に誘われても、その気になれないのは当然。

「あなたはそんなことしか考えてないの?」そう言われて以来、自分から誘ったことは一度もないと言う男性も多い。
案外、男は傷つきやすいのだ。

「ものも言いようだと思うんだよね。まるでケダモノでも見るように蔑んだ目でそう言われたら、もう二度としようとは思わないよ 」
男友だちがせつなそうに、そう言っているのを聞いたことがある。

「今日は疲れてるからごめんね。週末、ゆっくり……ね」

なんてキスでもされれば、夫のほうも気持ちが落ち着く。夫婦はいちばん身近な他人。断るにも言葉を選んだほうがいい。


著者:亀山早苗
明治大学文学部卒業後、フリーランスライターとして活動。夫婦間、恋人間のパートナーシップに関する著作多数。女性の立場から、男女間のこまやかなコミュニケーションのひとつとしてセックスを重要視する。 亀山早苗公式サイトはこちら・カフェ・ファタル

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