ラブリーポップ公式マガジン

MANTARA

ちょっぴりエキセントリックな精神科医が綴るセックスのこと、セックスに関係するお話し。

サラリ感でわかること

 

ニューヨークのアダルトショップに行く機会があった。
ラブリーポップのかおるちゃんと一緒に行ったから、が理由である。
派手な色彩のグッズが並び、ショップスタッフは、全員女性、カワイイ揃いの制服。 爽やかな笑顔で気さくに話しかけてくる。

さて、店には、60歳はゆうに越えただろうご夫婦の客が、商品を物色していた。

「今晩のオカズ(笑)はビーフ? あら、チキンも新鮮そうよ、アナタどう?」

スーパーに食材を買いに来て相談しあう古夫婦のように
ボソボソと、話し合っている。
時々スタッフに尋ね商品説明を聞いたりしながら。
日常的雰囲気で、ごく自然に。
もちろんここは食料品スーパーではなく、アダルトショップ。
物色しているのはアダルトグッズである。
私が「へえ~」とちょっぴり驚いたのは、彼らの年代、彼らが夫婦であること、
そして日常的にサラリとその状況があったことの三重奏。
裏を返せば、「サラリと日常的雰囲気でアダルトグッズを物色する、
高齢夫婦は珍しい。」という、
‘無意識の思い込み(私の常識)’があったとも言える。


先日「アニーリーボヴィッツ レンズの向こうの人生」という映画を観た。
アニーリーボヴィッツは、女流写真家でそのドキュメンタリー映画である。
映画の中で、「アニーのパートナーは女性であり」、
「アニーは50歳になって子供を持ったこと」が、
まるで「今朝はコーヒーを飲んだのよ」というぐらい、
やはりサラリと語られる。 私は再び、「へえ~」と軽く面食らう。
裏を返せば、「女性のパートナーは男性」「高齢で子供は持たない」という、
‘無意識の思い込み(私の常識)’があったとも言える。


高齢者がセックスを楽しむ、同性愛、高齢で子供を持つ、等々。
いずれに対しても、嫌悪感、批判はない。 しかし、面食らったことで、
‘無意識の思い込み’=私の常識範囲内にはなかったのだと直面させられた。
おかげで、偏見と先入観は、似て非なるとわかったけれども。
偏見は、「それはオカシイ」「間違っている」という批判や、嫌悪感を含む。
先入観は、無意識に思い込んでいる自分の常識、と言える。
しかし、この無意識の思い込みは、持っているほうに
そのつもりはなくても、 マイノリティの方たちを
いたく傷つけてしまうこともあるのだろう。
話題がデリケートな場合、特に。たとえばセクシャリティとか。


その人にとって当然の観念すなわち常識であれば、 「日常的にサラリと存在」し、
「サラリと語られる」ことになるのでしょう。
「今朝はコーヒー飲んだのよ」のように、
「今日は天気が良いわね」のように。
自分のありようや言葉が、「サラリ」でなければ、
自身がこだわりを持っているのかもしれない。
サラリ感を目の当たりにして、初めて自分の‘無意識の思い込み’に気づく。


あなたの、‘無意識の思い込み’は何でしょう?






Stanley

二階堂ターラ

精神科医。エッセンスリーダー。 上智大学心理学科卒業後、精神科医師をめざす。 大学病院での研修・研究・臨床・学生指導、大手企業数社で、産業精神科医としてメンタル教育・診療、 地域での看護学校講師を経て、 現在は副院長として単科精神病院に勤務し、地域医療に貢献している。 代替医療としてヒーリング、エネルギーワーク、ヒプノセラピーなどを診療に取り入れつつ、 最近では知識と経験に基づく直感法を用いたエッセンスリーディングを行い、全人的な癒し、幸福に導くために貢献している。


TAGS: 恋愛とセックス


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