ラブリーポップ公式マガジン

MANTARA

ちょっぴりエキセントリックな精神科医が綴るセックスのこと、セックスに関係するお話し。

愛と情熱の行方

 

ある日、歌謡曲トップ10番組を見ていた。
幾つか分類がされていて、たとえば過去△年のトップ10、
今週CD売り上げトップ10等。 どの分類でも、曲のテーマは様々。
「友情」「将来の夢」「旅立ち」・・・。
それなのに、カラオケトップ10に限って、10位から1位まで、
テーマはすべて「愛」だった。
様々なテーマがあるにも関わらず、 カラオケを歌う時、ほとんどの人が
「愛」というテーマを選び、歌いたがるということか。
みんなそんなに強く愛を求めているのかしら~。


時期を同じくして二人の発言を聞いた。
一人は日本人ノーベル賞受賞者。
「若い人はすぐあきらめる。粘り強くやっていくもの」 もう一人は王監督。
野球に対する情熱を「心をときめかせてやれた」と語った。
お二人とも、情熱を、ある対象に向け、あきらめず、一定以上のレベルで
長期間(おそらく数十年という単位で)継続し、そして実を結んだ。
「心をときめかせて」は一般に恋をしているときに用いられる言い回し。
恋と同じような、強く止めようもなく、
湧き出てやまない情熱が、この二人にはある。


カラオケをする人達には、その情熱が少ないのか?
だって、情熱の結果として愛が成就していれば、
カラオケというバーチャルの愛で心を満たす必要はないでしょう。
ノーベル賞受賞者の言うように、すぐあきらめてしまっているのかもしれない。


さて、現代の日本人は、おそらくどの時代・どの地域の人々より、
恵まれた生活をしている。 蛇口をひねれば水は即座に出て、
飢えることなく、世界の珍味を食べ、
スイッチをひねれば明るい照明がつき、暑ければクーラー、寒ければ暖房、
擦り切れていない服を着て、特別なマークのついた高価なバッグや財布を持ち、
いつでも便利にたいていのものは手に入り、
手紙は電子メールとなって一瞬で世界の裏まで届き、
数時間で壮大な距離を移動し、テレビやネットで世界中のニュースを知り、
映画やコンサートや美術展など世界中のアーティストのエンターテイメントを
楽しみ・・・・。言い出せばきりがない。
どんな王族も成し遂げ得なかった贅沢を、
多くの一般人が享受している時代は未だかつてないだろう。


言葉を変えれば、誰もが主役、ヒーロー気分に、手軽になれる時代とも言える。
たとえばアイドルや歌手になりたい情熱は、カラオケに行って満たされる。
ゲームセンターでF1レーサー気分、クラブに行けばダンサー気分、
プリクラでフォトモデル気分、ブログではエッセイストや作家気分、
結婚式のドレスやお色直しは、お姫様気分。
情熱は多様で拾い範囲にわたり、拡散され、そこそこの程度に満たされてしまう。

こうやって主役気分が簡単に満たされれば、
何かに対象を絞って長年にわたり努力を継続していこうとか、
情熱を注ごうとする意欲は、おのずと減ってしまう。
もちろん、男女関係に割り当てられる情熱量も、どんどん少なくなる
ということでもある。

「愛はほしいけど、注ぐ情熱量は少ない」
のがカラオケする人たちの実態だろうか。
セックスに当てられる情熱量は、さらに少なくなる・・・。

う~。こう考えていくと、そりゃあ、皆さん、セックスレスにもなるわけね~。






Stanley

二階堂ターラ

精神科医。エッセンスリーダー。 上智大学心理学科卒業後、精神科医師をめざす。 大学病院での研修・研究・臨床・学生指導、大手企業数社で、産業精神科医としてメンタル教育・診療、 地域での看護学校講師を経て、 現在は副院長として単科精神病院に勤務し、地域医療に貢献している。 代替医療としてヒーリング、エネルギーワーク、ヒプノセラピーなどを診療に取り入れつつ、 最近では知識と経験に基づく直感法を用いたエッセンスリーディングを行い、全人的な癒し、幸福に導くために貢献している。


TAGS: 恋愛とセックス


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