STD kinen
現役風俗嬢が送る人生ルポ
謎の組織モラルドーナツって？
前回、必ずしも、こんなＳＴＤチェキっ子になるのが夢ではなかったけど、原宿でスカウトされ、君ならＳＴＤアイドルになれる、という口車にまんまとのり、しかし、実はそれは真っ赤な嘘、謎の組織が運営するＳＴＤエージェント養成所で、睡眠学習、単語カード、公文式等でＳＴＤの知識を叩き込まれたが、こんな人生イヤだと、富士の樹海にあった施設を脱走、最近まで地下に潜伏。が、お天道様が見たい！その一心で這い出た所を、羽化中の蝉と目が合い、７年地中にいた、という共通項でたちまち意気投合、運命のゴールイン、ようやく幸せがおとずれるかと思いきや、蝉の悲しさ、７日後に死別、未亡人となりひとり残されるものの、昔取った杵柄で、ＳＴＤコラムを書き始めた・・・、という波乱万丈の半生を壮大なスケールで描きました。そう、このコラムを書くのも何かの運命。ところで、正月の御神籤は「半凶」でした、なんだ「半」て。凶にまで中途半端な感じが漂っています。
さて、今回は、私がＳＴＤ（性感染症）の知識をたくわえるきっかけとなった謎 の組織、モラルドーナツを紹介したいと思います。ラブリーポップでも販売され
ている、『性感染症日めくりカレンダー』を作ったグループです。
まず、はじまりから。 時は２０００年１２月、所は京都。日本エイズ学会京都大会のプレイベント 「MAD Girls'
Night(女子のSTD予防がテーマのクラブイベント)」をプロデュー スした「SHR(Sex Health and Rock'n
roll)」のメンバーがせっかくだから、何 か続けたいねーと周辺の人らに声をかけ。これからどうするよ？という最初の
ミーティング時、ＳＴＤのことやってくんだったら、形に残るもの、外に情報を
発信するものを作りたいって方へ転がり、フリーペーパーを月に一回ずつ発行す
るってことにとんとん拍子に決まりました。こういうことは、大風呂敷を広げす
ぎると続かない、細々でも続けるのを目指そうってんで、以下のような案も練り あげられ。
■印刷、製本のお金と労力を減らす
→Ｂ４サイズの紙の裏表に刷って、折るだけの簡単製本
■性感染症予防っていうものへのハードルを低くしたい
→親しみやすい紙面、ポップな感じに。と同時に、既存のパンフレットにはない、本音の声を入れる
■フリーペーパー界的にも目を引きたい
裏と表を独立した紙面にして、１冊で二度おいしいお得感を出す。印刷の色も、一方は赤、一方は青に
■誰かがリーダーになる負担を減らす
→号ごとに編集長次々とを交代して行く、編集長バトン制度を導入。編集長になったら、紙面を好きなようにできる特典つき。印刷は、時間が空いている人が協力してやる、配布は全員で、という体制に。
フリーペーパーの名前も早い段階で出た、確か。ひとりが、じゃ、表面は『月間
性病』どう？っていって、いいじゃん？つことになり、じゃ、その裏面は『コン
ドーム通信』に、ってそのあたりはなめらかスムースインで流れていきました。
その時、その題名案を口にした二人、『月間性病』はメンバーのミズシマさん (現在SW-rpm主宰、セックスワーカーの労働環境改善のため、ワーカー向けのリ
ソース、プログラム、記録を集めたアーカイブをつくるグループ)、そして『コ
ンドーム通信』、うん、いい名前だと思うんだけど、ま、つまり、わたくし、田 中課長が、栄えある初代編集長とあいなったわけですわ。
それでできた第一号が、これです。『月間性病』と『コンドーム通信』。今と
なっては激レアです。
で、この編集バトン制度はしてやったりで、忙しいメンバーが集まっていたのにもかかわらず、ほぼ月一のペースで、７冊まで刊行されました。すごいなー。編集、印刷、配布まで、ほぼ一ヶ月間でまわしてた奇跡。メンバーの汗と涙と我慢汁の結晶だったなー。
クオリティもなかなかでした。組まれた特集のタイトルをざっと並べても、『月間性病』では、「生フェラ問題」「STDアロマテラピー＆民間療法」「セックスしないでうつるＳＴＤ」「性病すごろく」、かたや『コンドーム通信』は、「ワンタッチvsノータッチコンドーム、炎の対決！」「映画の中のコンドーム」「My
favorite
condom」と、興味深いものが目白押し。改めて振り返ってみると、今の自分のルーツ、このあたりにあるー。メンバーの皆さん、本当にありがとうございます。
そして、この後、ついに、一大事業『性感染症日めくりカレンダー』を制作する、長く険しい試練がはじまるのですが。メンバーは妙齢の婦女子約15人、その行く手に待ち受けるものは！また続きます。
田中課長
風俗風来坊。マンガ好き。日記書いてます。どんぞお立ち寄りください。（※開店中）
