STD kinen
現役風俗嬢が送る人生ルポ
華麗なるマイＳＴＤ軌跡
なんかね、おちゃめなゴッドの計らいにより、ＳＴＤについてのコラムを書かせてもらえている私でありますが、昔からこうだったわけじゃないのです。生まれたときは、淋病の耐性菌の存在もしらない、珠のようなかわいらしい赤ちゃんだったとききます。産道のクラミジア感染はなかったよ？と批評してたぐらいです。
そんな、ウブで恥ずかしがりやさん、「セ、セ、ＳＥＸ？（わざわざ英語表記）」とも発音できなかった私が、どのようにして、「亀頭の周りの白いボツボツは病気じゃなくて脂肪球ってこともあるよ？」とすらすらいえるようになったか。その変遷を、思い出したくない恥ずかしい過去と共に振り返ります。
セックス黎明期。あれ？あたいのヴァージン？どっかに？置いてきた？というグレーゾーンからのスタート。自らの性欲も五里霧中、避妊したりしなかったりの日々。一回一回が冒険、というよりは、バクチ、といっていいような限りなく不透明に近いブルーな気分が常時隣合わせ。妊娠する、という実感もぼんやり、性感染症予防、という概念にいたっては果汁１パーセント以下の駄ジュースにも劣る低認識。その反面、なぜだか「エイズ恐怖」というのはあり、心当たりのある行為を経ては、「どうしよう・・・感染したかもしれない・・・そしたら一生セックスできない・・・ママン・・・」と枕を涙で濡らす夜を重ね重ね。ちなみに当時の自分に対する明るい朗報としては、ＨＩＶに感染していても、いくつかの条件そろえれば、セックスライフを継続できるってよ？その恐怖感は、今から考えれば、知識の不足、性に対する罪悪感、恐れ、自信のなさというのが全部いっしょくたになってたのが大きいです。が、これらの不安はコンドームを使う、という予防行動にはつながらず、「ナマでやっちまった
――！」→「ヤバイ、かかったかも――！」という、ド・ループ伯爵の足踏み舞踏会状態を飽きもせずに続けていたのガラスのジェネレイションですわ。
セックス飛翔編。「いろんな職業を経験してみるキャンペーン」の一環として、
風俗嬢になったわけですけど、最初マイ職業誰にもいえず、廊下で正座ぐらいの
孤独。が、何年かして、ハラを割って話せる嬢友ができたり、また、もともとの
友達が風俗嬢になったり。風俗って枠以外でも、性の話が普通か、とても大切な
こと、もしくは笑いのネタとして、机上にのせられる人が雨後のタケノコのよう
にガッサガッサ出現したのでした。ホントは、多くの人が潜在的にいろいろ抱え
てて、それを共有することを求めているんじゃないかと思います。そうこうして
いるウチに、自分たちに必要な性の知識を発見して発信しようをコンセプトにし たモラルドーナツというグループで性感染症カレンダーを作ったり、風俗嬢自ら
が、ＳＴＤの学習会開く活動を展開したＦＩＳＨにかかわるようになり、私の
ＳＴＤ知識は、格段にアップ。 そういえば、ＳＴＤの知識が入ってきたての頃は、セックスするのがすっごく怖
くなった思い出が。「病気、かかるやん！！」そうなんス。予防手段をとること
で、感染する率は下げられるけど、絶対はありえない。それがわかってきて、相
当ビビりまくったのでした。も、今絶対クラミジアかかってる、と思い込んだり
もし。しかし、さらに活動を続けていく中でＳＴＤに対する敵対心は薄れ、「予
防しててかかんのはしゃーない。病気になるリスク、それも受け止めつつ、でも
性がある生活、人生を楽しみたいんすわ！！」に次第に変化。性＆ＳＴＤに対す る気持ちは、そんな風で現在に至っています。
さて、現在、世紀末耳年増編。や、生きてると何が起るかわからない。ＳＴＤのコラムをかかせてもらったりなんて、すごい出世っすわ。魚でいったら、ブリになりきってるって感じ？ こんな棚からぼた餅はないのでありますが、が。ちょっとした不満をもらせばですよ、実地が絶対的にともなってないっすわ。いきなりタメ口になって申し訳ないっすけど、ＳＴＤ知識ばかりが豊富でなんになるんすか！ もうね、人生、性あってなんぼ。つっぱしりたいっスよ。何かが欠けてるんすよ。ブリよりマグロになりたい。いや、マグロを料理するほうでもどっちでもいい。ギブミー生身。でも、ゴムはアリ方向で。
今回は、ＳＴＤマイスターを気取っている自分に、初心にかえれよという自戒を促すため、そしてやっぱモテたいよね、という根本原理を確かめる意味も込めて、華麗なるマイＳＴＤ軌跡を振り返ってみました。
田中課長
風俗風来坊。マンガ好き。日記書いてます。どんぞお立ち寄りください。（※開店中）
