ラブリーポップ公式マガジン

IKU

女性のオーガズム、イクということを男性視点で綴るコラム。 どんな女性がイキやすいか?イケない女性の特徴など、美しいセックスとオーガズムを探求。 連載期間:2007年~2009年

人はなぜイクことに拘るのか?

イクことをテーマに語ってきたが、イクことを目的に語ってきたわけではなく、人はなぜイクことに拘るのか、に主眼を置いて語ってきたつもりだ。イクことは性欲の解消と言うより、解放と言った方が正しいように感じる。「性の奴隷」と時に人は呼ぶが、実際はそう呼ばれる人は、「性の逃亡者」なのかも知れない。

 「性欲から自由になりたい」と言う欲求が人にはある。近年、そういう視点を持つ必要を感じるのは、「性欲が面倒」という人たちが増えている点や、自らを「草食系男子」【ジェンダーフリーな癒し系】と言う澄ました顔の若い男たち、SMのカジュアル化【SMはイクことを目的としない】、アセクシャル【asexial:性欲の薄い】の人々の登場など、示唆する出来事が起きていることなどが理由だ。

 自分がイケずに女としての喜びを享受できずに年を重ねていくことに憂い、涙を流してきた女性を何人か見てきたが、肉体的にイクことだけに執着し、それだけで追い求めてしまうと、どんどん深みに嵌っていき、イクことが達成できないばかりでなく、自らの心や身体を痛めつけるだけに終始してしまうことになる。

 イクことと解放が同じ意味を持たないと、新たな苦しみを背負うばかりだ。

 性の達人と言われる人々の殆どは、すっきり自由にしていてガツガツしているところはない。「それは満たされてるからよ」と言う方もいるが、実際に会ってみれば、そんなことはないと容易に理解できる。それは、彼らがイクことから解放されてる以上に、性の客観視が出来ていて、どのようにセックスを楽しむか、相手のことを冷静に見ながら判断することができるからだ。

 セックスレスのカップルにカウンセラーは、「セックスはしないで下さい」と言うことがある。そのことによって、セックスしなくてならないと言う脅迫的観念から解放され、「二人きりが気まずい」と言う時間がウソのように消えることがあるそうだ。そこから再度、関係を構築していくのだそうだ。

 それと同じように、イキたい女性は、イクということを一時的に目標から下ろした方がいい。むしろ相手をイカせてしまう方法を色々考え実践してみた方がいい。

 セックスの快感はとても個人的なことではあるにしても、セックスそのものは相手のあることだ。相手なくしてセックスは成立しない。相手を思いやるセックスを実践して、その上にアグラをかいて受け身になってしまう相手なら致し方ないが、本来、二人で享受できるものがある。そこで得られる満足感もある。

 それをイクことの代替にして欲しい、と言っているわけではない。そこをバックボーンにしなくては、セックスでイクことに至らないのではないか、と言っている。

 性を追求することは大いに結構なのだが、自分の欲求を得るがためだけに次から次に相手を求めていると、ただ数だけが積み上がって、何も残らないばかりでなく、本来のセックスのあり方などを見失ってしまうし、けして解放されることはない。




Stanley

工藤忍

Club Deep Blue」主宰。 愛しい人のSexyな生き方 。3,000人を超える女性との出会いを通じ、経験や見聞きしたこ とをベースに、様なSexualityに触れながら、恋愛道を語る。


TAGS: 恋愛とセックス-女性向け風俗


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