第4回 『メビウスの環』

 メビウスの環というのは、細い紙片の環の両端をねじって張り合わせると、表をさわっているつもりが、いつのまにか裏になっているという、つなぎ方の不思議である。

世界は変わる。自分が考える全世界など…狭い世界に過ぎない。自分が生きている世界の外には、大きな世界がいくつも広がっている。そのことに人は気付かず、絶望して死んだりする。表と裏が交互にあらわれるのを知らないまま。

最愛の彼から聞いた…私の第一印象。一つは、「上品なセックス」しかしてないな…ってこと。自分の枠があって、その中で楽しんでるだけ。失礼だけど「井の中の蛙」に感じたよ。もう一つは話をしながら…俺はこの女をこれから抱くんやろな…と確信した」

確かに思う。今まで私がしてきたのは…表のセックス。自分が感じることよりも…彼の目に綺麗に映りたい。美しい女でいたかった。でも彼と出逢ってから私は変わった。髪を振り乱し…マスカラは汗と涙で落ち…体液まみれになって絡み合うセックス。こんなセックスがあるなんて考えもできなかったくらいの…身体じゅうが煮えたぎりとろけ出すような性交。

つまりそれは…メビウスの環…表がいつのまにか裏に反転しただけのこと。表は裏へ…裏は表につながっている。幸せも不幸も…繋がり合っていて、もとを辿れば我が心に帰着する。表と裏が交互に現れるメビウスの環は『絶望するな』と呼びかけているようだ。あの形こそ…生きることの意味をこよなく象徴する形ではないだろうか。そして男女の不思議までも…語りかけているように感じてしまうのである。


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