第4回・「性欲の行方 」

柴門ふみ原作「東京ラブストーリー」という漫画がある。主人公・赤名リカが相手に言った「セックスしよう」のセリフはその当時、衝撃的に響いた。あれから十数年。性の解放が進んだように見えるけれど、このセリフがなんの抵抗もなく言える女性、言える関係を持っている人ばかりになったわけではない。テレビ、雑誌、インターネットなど、性の情報は開示されている。刺激度も増している。けれど、心と心をつなぐものとしての性に親密さが増したか?は、はなはだ疑問である。

女性の場合、性欲に気づいても、「すんだら終わり」とシンプルに解消するための状況設定は難しい。社会人になれば、利害関係や体裁もより一掃複雑になる。身近なところで手を打つのはリスキーだと多くの人が考えている。様々な社会的状況を想定しておく必要があり、なかなかその一線を越えられない。

一方、未だに、性欲なんてあたかもないかのごとくふるまう女性も多い。あるいは、そんな欲求なんて私にはないと女性自身が信じてしまう。あるいは、そんな欲求の存在に自らが気づかない。もちろん欲求が消えてしまうわけではない。消えないとすればどこへ?

気づかなければ欲求は満たされようもなく渇望はつのる。その渇望が何なのか自分でわからない。「なんなの?なんなの?」わからない。むしょうにイライラしてくる。仕事、スポーツ、趣味、友人とのおしゃべりなどの形にすり替わり、そのエネルギーは解消されていく。仕事やスポーツの場合は積極性や競争心となって現れ、かえって良いこともあるかも。おしゃべりでは、悪口に花が咲いちゃうかも。部下を叱りとばしちゃうかも。一般に、ちょっと攻撃的なのが特徴。性欲が満たされていない女はヒステリック・・・この論は当たらずとも遠からず、である。

特定の彼がいた場合、イライラにすり替わった渇望は、集中して彼にぶつけられる。泣く。喚く。機嫌が悪い。難癖をつける。ケンカをふっかける(ここでセックスに持ち込めればMr&Msスミスである)たとえば、彼の至らない些細な点をいちいちとりあげて、「前から思っていたのだけれど、アナタってこういうところがあるのよね、それってさ・・・」「私が〜〜って言ったのに、どうして私の気持ちがわからないの?」などなど。恐ろしい被害者意識満載の攻撃が始まる。攻撃は、時に、大砲のようだったり、散弾銃だったり、棍棒だったり、落とし穴だったり。性欲によるという自覚がないと始末に悪い。理由のないイライラがつのるときは、「私はセックスしたい」と100回唱えると呪縛が解ける・・・かもしれない(笑)。

「セックスしたい」と声高に叫べる女は幸せである。【ヴェーテ】 *注: 人名事典を探しても載っておりませんから、念のため。


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