第2回・「さて、あなたはどっち? 」

分娩時にもっとも大騒ぎするのは、女医と女教師であるという、まことしやかな噂がある。統計をとったわけでもないだろうから、真偽のほどは定かではない。ふだん感情を抑えているイメージがあって、一層ギャップが目だって見えるのかもしれない。だって、実際はともかくとして、バカ騒ぎしたり、ヒステリックに泣いたり喚いたり、キレまくっている女医や女教師ってイメージにないでしょう。ギャップが大きいほど、意外性があり、あたかも秘められた真実かのようにまことしやかに語られるものかもしれない。そうはいってもその噂もどき、満更ウソでもないのかなと思った出来事があった。

あるとき一人の患者さんがいた。知的障害の女性。彼女は出産に際して、痛みも訴えずスルッと産み落とし、分娩後は即座に立ち上がった。もう少し詳細に言うと、分娩台の上に仁王立ちになった。(ついでに言うと、産婦人科の先生から、「降りなさい!」と怒鳴られた)その後、平然とした面持ちでスタスタと自分の病室まで歩いて帰ったのだった。私のみならず周囲にいた医療スタッフ、特に出産歴のある女性スタッフは、正直あっけにとられた。「ありえない」「そんなに平然と?「痛みはないの?」「一体どういうこと?」わからない・・・。

この出来事と前述の噂もどきとからある仮説を立てると、「頭脳型」(アタマを主に使うタイプ)は痛みに弱く、一方、「身体型」(身体を主に使うタイプ)は痛みに強い、と言えるかもしれない。「頭脳型」は、知識や情報があるがゆえに想像力もたくましくなり、「ああだったらどうしよう?こうだったらどうしよう?」と不安や恐怖がどんどん高まって、痛さを実際以上に強く大きく評価してしまう。想像上の「とっても痛い」という経験をするので大騒ぎをする羽目になる。一方、「身体型」は、知識や想像力がもたらすような無意味にあおりたてる恐怖や不安がない。まず身体ありきであり、痛みは痛みそのままとして感知するのみである。

この論理をSEXのオーガズムに当てはめることもできる。「頭脳型」は、想像力もたくましく「イクって、ああかも?こんなかも?こんなときにはこんなふうになっちゃうかも?」と期待がどんどん高まって、実際の体験に集中しない。想像上の経験のみで感覚が希薄になる。結果、イキにくい。「身体型」は、想像なしで身体的体験があるのみ。イクときはイクし、イカナイときはイカナイのである。

これは私がでっちあげた単なる仮説ではあるけれども、それにしても、ところで、あなたはどっち?


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