
第一回・プロローグ 隠れ家
山と海に挟まれ東西に帯状に広がる神戸は坂の街です。摩耶山に向かって真っ直ぐに伸びる坂をほんの少し上り、左に折れると細い路地があります。その路地を入ると、ちょうど視線の高さに新神戸オリエンタルホテルの鋭角に尖がった三角屋根が天を突くようにそびえています。
細い路地に面した一軒家。一階がフローリングの施術室と6畳の和室。二階には書斎とワークショップルーム。この家は施術とオフィス専用に借りています。すぐ南に、新神戸駅から東西に走っている大きな幹線道路があるのですが、都会の雑音から隔離されたような静かな佇まいです。玄関塀沿いに植え込まれた庭木には、季節の折々に野鳥たちが羽を休めに訪れます。その風情を、あるクライアントが、「隠れ家のよう・・・」と呟いたことがありました。
申し遅れましたが、私はInjuと申します。もちろんサイト上の名前です。由来はあるのですが、また機会があればということにしておきましょう。私は長年、太極拳・気功の教室を運営するかたわら整体法や様々な民間療法を取り入れた東洋療法の施術を行ってきました。1985年9月に『セクシァル ヒーリング TAO』を開設して気功・療法・性の三位一体の活動を続けています。『TAO』というのは道教の「道(タオ)」の英文表示です。2001年1月15日に『セクシァル ヒーリング TAO』の独立サイトを作ってから全国各地から様々なクライアントたちが、この「隠れ家」を訪れるようになりました。
TAOのクライアントは、単独の女性が80%、カップルが10%、その他はゲイやバイの男性、ニューハーフの方々などです。年齢層も幅広く、20代から60代、中には76歳の淑女もいますが、女性クライアントの中では30代から40代の主婦層が80%を占めています。
TAOに来られる動機も様々です。「不感症ぎみ」、「もっと感じるようになりたい」、「セックスレスで」、「夫婦生活が倦怠気味で」、「もっと刺激が欲しい」、「ちょっとイケナイことをしてみたい」、「人には言えないちょっと変わった性癖があって」、「男性恐怖心があって、それを克服したい」などなど、人それぞれの性生活や性的欲求と日々向かい合っています。
一回、二回、とTAOを訪れる回数を重ねる内に、性生活以外にも子どものことやパートナーのこと、自分の生い立ちのこと、仕事のことなどを相談されたりすることが多々あります。様々な生活の中でも、「性」が特別であるのは、きっとそれが「極私秘的」なものだからかも知れません。わたしの中の「極私秘的」なものを曝け出すことができた、、その開放感からでしょう。一人、また一人と大勢の女性たちが曝け出した「わたしの極私秘」は、私の脳の中にいつの間にか充満して、次第にそれらが<性の曼荼羅>にし立てあがっているようです。
これから12回の連載を通して、<性の曼荼羅>を、しずかに、やわらかく、ゆっくりと、伝えていきたい、と思っています。TAOのサイトも、ぜひご覧になってください。ご意見やご感想などもメールでお寄せいただければ幸いです。

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