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子どもが幼いうちは、家族4人でひとつの部屋に寝ていました。4人ですので「川の字」にはなりませんが、そんな感じです。それがセックスレスとなってじきに、ぼくだけ別の部屋に寝るようになりました。ちょうど子どもらが成長してきて、ひとりでひとつの布団を占領するようになってきた頃でもありました。
上の娘が中学へ進学し、息子も小学校の高学年へと入った頃、ぼくが腰痛に悩まされるようになりました。元来腰痛持ちでもなく、ぎっくり腰などの経験もないのですが、結婚以来使っていたベッドがどうも体に合わないように感じられ、妻に「新しいベッドを買おうと思うんだ」と相談したんです。そして、「子どもらもそろそろ親離れの訓練を始めたほうがいいのでは」と、それまで子どもらと一緒に寝ていた妻にも新たなベッドを用意し、ぼくと同じ寝室で寝るように勧めてみました。
外国では、夫婦がひとつのベッドで寝ているところに子どもが入ってきて、「おはよう」なんて言うシーンをよく見かけます。夫婦はベッドを共にするものだという概念が、文化が異なる国では当然のこととして幼い頃から教え込まれているわけです。けれどこの国は違う。そう、親子は「川の字」になって寝る文化です。昔から夫婦の間には子の姿がありました。子を授かったら途端にセックスが遠ざかったという声をよく聞きますが、川の字だけが理由ではないにせよ、どことなく文化を感じてしまうのはぼくだけでしょうか。
親離れ、子離れ、という物言いがありますけど、それは同時に、夫婦二人の人生、子どもら独自の人生を考える機会でもあると思います。幸いにもぼくら夫婦は、そういうことを話し合う時間を常日頃から持っていました。ではなぜセックスレスを話し合わなかったのか、と思われるでしょうか。それは、出したくても出せない話題だったんです。度重なる拒絶が、それを口にしてはいけない言葉にしてしまったんですね。ともかく、ぼくらは子どもらの将来、そして自分たちのこれからについて話し合いました。そして、ふたりの新しいベッドを買うことにしたんです。
あとはトントン拍子でした。寝室といっても御殿ではありませんから余裕はありません。壁際にタンスを並べると、ふたつのベッドをくっつけて置かなければタンスの引き出しが引けない状況です。新たなベッドは、我が家に運び込まれると当然のようにくっつけて並べられ、その夜から再びぼくらはひとつの部屋で寝るようになりました。そしてじきに、セックスレス夫婦から脱却することとなったわけです。
驚いたことに、かつてのような強い妻の拒絶はありませんでした。かといって、ぼくの嗜好を存分に満たしてくれるようなこともありませんが、その辺はこちらも多少はオトナになっていたということでしょうか。新たな生活スタイルに慣れるにつれ、夫婦間のセックスも自然な感じで行われるようになってきた気がしています。
最近改めて思うことがあります。セックスレスを経験し、そこから脱却したから口にできるのかもしれませんが、やはりセックスだけが夫婦だとは思えないということです。セックスレスへの入口は出産と育児でした。それが全てではもちろんありませんが、切っ掛けはそこにあったと思います。そして、そこからの出口は、親離れと子離れ。不思議なもので、いずれもセックスそのものではなく、子どもという存在でした。
現在、セックスレスで悩んでいらっしゃる方も大勢いると思います。ケース・バイ・ケースですから一概に言えるものではないと思うんですけど、これだけは頭の片隅に置いておいてほしいと思います。それは、「セックスレスだからセックスしてはいけないという道理はない」ということです。わかりにくい物言いですが、人はとかく言葉で自分を縛ってしまうきらいがあります。セックスレスだからということで、「自分はセックスできないんだ」と思いこみ、自分を追い込んではいけないということです。
人生という道程の上では、じつにさまざまな出来事が起こります。セックスレスも、そんな沢山ある出来事のなかのひとつなんです。夫婦というものを考える絶好の機会だと思って、是非、ご自分を追い込むことなく、妻と夫、そしてお子さんがいらっしゃれば彼らの人生を、夫婦で語り合ってください。セックスに固執せず、さまざまな角度から人生を展望してみてください。そしてそこから、いつかセックスが自然と生まれることを願いつつ、今回のコラムを締めくくりたいと思います。
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プロフィール |
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神崎ヒロイ(♂) 1962年東京下町生れ、在住。98年、ウェブで創作活動開始。2002年、大人が自然
体で愉しめるコンテンツを目指して、サイト「ヲトナごっこ」を立ち上 げる。セックスや恋愛をテーマとしたコラムを中心に、小説、エッセイ、ポエム
等の著作物から、写真や、文字と写真を組み合わせた作品等を公開中。05年夏、 学生時代の音楽仲間とおやじバンド「4-BLOOD」を結成。現在そちらにご執心中
につき、創作活動は停滞中。ブログあります。「ヲトナごっこ」 |
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