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おとなごっこ

男と女・セックスについてのコラム

生殖本能で男を考える

 

コラムを書く傍らで、これまで数多くの女性からさまざまな話をきいてきました。状況はまさにケース・バイ・ケースでしたけど、そのほとんどの場面で、「困ったものだ」「男ほど厄介な生き物はいないな」とため息をついてきたものです……ぼくも含めて、あはは、汗。

 はじめのうちは、なかなか的確な返事も出来ずにいたんですけど、あるときふと面白いことに気づきましてね。以後はそれをより所に「解説」するようにしています。それが、「生殖本能で男を考える」ということです。これがまた、面白いようにさまざまな場面で男の行動を裏付けるんですよ。

 男の生殖本能って何だと思いますか。それは、自分が持つ「種(しゅ)」を後世にまで残そうとする本能です。これは人間に限らず、世のありとあらゆる生き物にいえることですから、言い換えると、生き物である人間が先天的に持っている本能でもあるのでしょうね。

 自分の種を存続させるため、男は自分の遺伝子、つまりは精子をとにかくばら撒こうとします。タネが着床する場所を追い求め、女を次から次へと追いかけるわけです。人間が他の生き物と大きく異なるのは、「知性」というものを備わっているからでしょうけど、その知性をも撃破するほどの強い欲望的威力が、この「種の存続本能」にはあるのかもしれません。

 一方、女の生殖本能とは何でしょう。それは、数ある種のなかから自分が望む種をセレクトし、それを受け止め、生命を育むことだと思います。男が「下手な鉄砲も数撃ちゃあたる」と、ひとつの苗床で満足できずに他を求めてしまうのとは違って、ひとつのタネを選び大切に育んでいくわけですから、おのずと両者には意識の差が生まれてくるでしょう。

 その違いに、まず気づく必要があると思うんですね。同じ人間とはいえ、性が違うということは、根本的なところで物の見方や考え方に違いが出てくるんです。「所詮、男と女はわかりあえない間柄なんだろうな」とぼくは思っていますけど、この生殖本能による違いもまた、その裏づけといえるかもしれませんね。

 スキンをつけたがらない。完璧な避妊など、パイプカット等の処置をしたものしかあり得ないのに、真顔で「大丈夫」という言葉を使う。仕事の付き合いだからといって、平然と夜の街で色女の尻を追いかける。新たな女を手に入れるためには、平気で嘘もつく。「妻とうまくいってないんだ」「もう何年セックスレスだろう」などと、使い古された手だとも気づかず哀愁たっぷりに語る男たち。ほんと情け無い。

 でもね、その情け無い行動の裏に、前に書いたような生殖本能が少なからずあるとしたらどうです。男の行動は摩訶不思議と思っていたものが、「なんだ、またかよ」と至極単純に見えてくるのではないでしょうか。もちろん、単なる「女好き」というのも少なからずあるでしょうけれど……。

 生殖本能で行動が理解できたからといって、「そっか、じゃ、許してあげちゃうっ」なんてわけにはいきませんよね。当然です。ぼくだって、それくらいの理由で過去を懺悔しようとも思いません……謎。

 肝心なのは、まず相手を知るということではないでしょうか。「あれ、異性は所詮理解できないって、さっき言ってたじゃん」と仰るでしょうね。そう、わかりきることは困難です。けれど、理解の取っ掛かりを手にすることは、互いにとってきっとプラスに働くだろうと思います。解決方法もさまざまだと思いますけれど、闇雲に手を四方八方へ伸ばすよりも、目標が見えたほうが糸口も見出しやすいはず。

 男の行動は単純なんです。深く考えてはいけません。よく、いまは天国にいる親父様が言ってましたよ。「下手な考え休むに似たり」ってね。男って、そういう生き物だと思います。




Stanley

神崎ヒロイ

1962年東京下町生れ、在住。98年、ウェブで創作活動開始。2002年、大人が自然 体で愉しめるコンテンツを目指して、サイト「ヲトナごっこ」を立ち上 げる。セックスや恋愛をテーマとしたコラムを中心に、小説、エッセイ、ポエム 等の著作物から、写真や、文字と写真を組み合わせた作品等を公開中。05年夏、 学生時代の音楽仲間とおやじバンド「4-BLOOD」を結成。現在そちらにご執心中 につき、創作活動は停滞中。


TAGS: 恋愛とセックス


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