おとなごっこ
男と女・セックスについてのコラム
もっと囁いて / 感じるセックス・五感
ぼくのコラムは、大別すると「心（恋愛や男女問題）」と「体（セックス）」とにわかれます。けれど、連載を依頼されるにあたって、どちらかといえば前者に重点を置いてみて欲しいってリクエストされちゃったので、心を中心としたコラムを集めてみました。でもさ、心と体ってのは、やはり密接に繋がっていますからねぇ。
セックスで本当に「イク」という感覚を覚えるのは、女性の場合は三十路を過ぎてからだときいたことがあります。医学的にも根拠がある話だそうで、それくらいの年齢を境に、何やら体内でホルモンの変化があるそうです。ですから、二十代までの経験だけでセックスを悟ってはいけないのでしょうね。そして、三十路を過ぎてからこそが、女にとっては性を磨き上げる仕上げの時期に入る、とも言えるのでしょう。ちなみに、男も三十路四十路を過ぎたら、せっせと鍛えねばならないそうです。でないと、退化するとか……おお怖っ。
それでは、医学的に立証されているという肉体を持ってすれば、誰もがセックスの境地をみることができるのでしょうか。答えは「否」ですね。それは、相手にもよるでしょうし、肉体が肉体のみでは成立していない、つまりは心を伴って成り立っているからです。心、とても大切です。はい。
外国映画に出てくるセックスシーンと日本のそれとを比べると、明らかに異なる点があります。ここをご覧になられてる方であれば、その辺は達人（？）でしょうから、すぐ頭に浮かびますよね。そう、声です、声。映画という作られたものですから、多少は誇張されてる部分があるにせよ、セックスをしている最中の男女の声の違いには、文化の違いをまざまざとみる思いがしますよねぇ。映画って、ほんとーに素晴らしいですねぇ。
セックスはコミュニケーションだという物言いも、もはや使い古された感がありますけど、そのわりには実践できてないのがニッポンダンジ。体を絡めずとも、言葉のやり取りだけで濡れてくるように、性の快楽にコミュニケーションはとても大切なエッセンスですよね。それなのに、ああ、それなのに。この国のオトコたちって、どうしてああも無言でセックスするんですかねぇ。あ、別に他人のセックスを覗き見て歩いてリサーチしてるわけではないんですけど、汗、そういう話をよく女性から愚痴のごとく聞かされてきたもので。。。反対のケースもありますけど。
なにも「会話」をしろということではないんです。例えば、ネットでメールを送信すると、返信が気になりますよね。いつ返信が来るかなぁとそわそわするなんて経験は、誰もが味わっているのではないでしょうか。それと同じなんです。セックスもコミュニケーションであるからには、反応がないと味気ない。たとえ「あはん、うふん」であっても、反応があると嬉しいものです。このコラムを男性がどれくらい読んでるかわかりませんが、女のそういう声を耳にして何かを感じたならば、同じように返してあげてください。きっと相乗効果に酔いしれることでしょう……あん。
さて、人間には五感というのがあります。「視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚」の五つです。これらを総合して、脳は物事を感じ判断するわけです。ということは言い換えると、それら五つの感覚をできるだけ駆使して感じるセックスが、最もその境地に近いのではということになるでしょうねぇ。さて、皆さんは、この五つの人間が持つ感覚を、はたして幾つ使ってセックスしてるでしょうか？
おそらく、最も使われていないであろう感覚が、聴覚だろうと想像します。よく「黙っていても〜」という物言いがありますけど、その他四つの感覚は、まさに黙っていても感じられるからです。声が少ない日本人のセックス像を思い浮かべると、聴覚の刺激が少なすぎるということは容易に想像できるでしょう。だから、もっとその最中に「囁いて」欲しいとも思うのね。
人間の脳ってのはじつによくできていて、少しずつの刺激であってもそれを重ねていくと、やがてはそれらが統合されて麻痺したかの状態になるそうですね。それは「無」に近いものであるかもしれないし、「到達点」であるかもしれない。いずれにしてもその瞬間に人の脳は「解放」されるのでしょう。それこそが、セックスでみることができる境地なのかもしれませんね。
体だけでなく心を濡らし、脳を感じさせるセックスを、是非体感してみてください。
神崎ヒロイ
1962年東京下町生れ、在住。98年、ウェブで創作活動開始。2002年、大人が自然 体で愉しめるコンテンツを目指して、サイト「ヲトナごっこ」を立ち上 げる。セックスや恋愛をテーマとしたコラムを中心に、小説、エッセイ、ポエム 等の著作物から、写真や、文字と写真を組み合わせた作品等を公開中。05年夏、 学生時代の音楽仲間とおやじバンド「4-BLOOD」を結成。現在そちらにご執心中 につき、創作活動は停滞中。
