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おとなごっこ

男と女・セックスについてのコラム

求められることの喜び

 

ウェブコンテンツにライブチャットというのがあります。知らない方が多いかも知れませんけど、文字だけでなく、カメラやマイクといった機器も使って、男と女がネットでコミュニケーションを楽しむものです。ぼくがこのコンテンツを知ったのは、3年ほど前でした。多くは「チャットレディ(以下略して「チャトレ」)」と呼ばれる女性たちがサイトで待機し、ポイントを購入した男性客が、好みの女性を選んで時間を楽しむというものです。最近では「チャットボーイ」が待機するサイトも増えてきたようですけれど、それはさておき……。

  チャトレをやっている女性の年齢層には、かなり幅があります。ぼくが見た限りでは、10代後半から50代まで。それもここ1〜2年は、パソコンに触れるのも初めてといった女性たちが、ライブチャットの世界に入ってきているように見受けられます。若年層の子たちがネットでチャットをするイメージは容易に浮かぶんですけど、40代や50代のチャトレが日々増えているのはなぜでしょうか。

  ライブチャットには、目的を持った男たちが集います。それは、出逢いであるかもしれないし、心の安らぎであるかもしれない。もちろん、エッチな目的の男も沢山います。アダルトチャットといって、お互いの裸体をカメラ越しにみながらオナっちゃうなんてのもありますから。いずれにしても、男性客は「女」を求めてライブチャットを利用します。それを逆の立場でみてみると、チャトレたちは、その内容はさまざまであっても、常に「求められている」ということになるでしょう。

  これまで数多くのチャトレたちと言葉を交わし、裏話も数多耳にしてきました。男ってなんて馬鹿な生き物なんだと思ったことも数知れません。けれどそれでも、彼女たちはチャトレであり続けようとする。たまに嫌な客と出会って気持ちが沈んでしまっても、自分を素直に求めてくれる素敵なお客様がいる限り、チャトレであり続けようとするんです。その気持ちが、なんとなくわかるように思えるんですね。

 セックスのとき、ぼくが「この瞬間が一番好きだ」というものがあります。フェラでもありませんし、ましてや挿入でもありません。お互いに裸で絡み合い、相手を愛撫しているときに、すっと彼女の手がぼくの股間に伸び、その手をペニスで感じる瞬間が、ぼくは一番好きなんです。そのときぼくの心の中には「求められている」という確信が生まれ、それまで以上に彼女を愛しく思うようにもなります。表現の仕方はさまざまでしょう。けれど、言葉のないこの「手の動き」が、過去の経験を振り返ってみたときに、ぼくには最も刺激的だと感じられるんです。

 恋愛の基本はコミュニケーション。そんなことは誰もが知っていますよね。けれど、そのコミュニケーションをしっかりと交わせているカップルというのは、ことのほか少ないのかもしれないと思うときがあります。言葉ももちろん大切には違いありませんけれど、言葉を超えるコミュニケーションの方法もあるということを、決して忘れないでいて欲しいと思います。

 セックスしたいと好きな相手に言われて、嫌悪感を覚える人はいないはずです。大好きな人に抱きしめられて、嫌だと突き放す人もいないはずです。もちろん、心ってのも複雑ですから、状況によっては逆走しちゃうこともあるかもしれませんけど、まぁ、好きな人から求められて嬉しくない人はいないと思います。男だってね、同じなんです。女から求められれば嬉しい。それが、好きあった仲であれば、なおさらのことです。

 心のなかにある感情を、相手にどう伝えるか。それは、世にあるさまざまな書物に、ありとあらゆる方法論が書かれているようですけど、基本はひとつではなかろうかとぼくは考えています。そう、自分の心に素直になることです。欲しいという気持ちを、素直に認め、相手に伝えることです。その感情を認めてあげることです。

 それが出来ない状況というのもあるでしょうね。既婚者同士の恋愛では、思うに任せないことのほうが多いだろうとも思います。でもね、それでもぼくは、心は素直に表現して欲しいと思います。まず相手にすべてさらけ出して、その次のことは、きちんとふたりで話し合う。それこそが、男と女にあるべきコミュニケーションの姿だと、そう思うからです。

 求める気持ちを表現してくださいね。




Stanley

神崎ヒロイ

1962年東京下町生れ、在住。98年、ウェブで創作活動開始。2002年、大人が自然 体で愉しめるコンテンツを目指して、サイト「ヲトナごっこ」を立ち上 げる。セックスや恋愛をテーマとしたコラムを中心に、小説、エッセイ、ポエム 等の著作物から、写真や、文字と写真を組み合わせた作品等を公開中。05年夏、 学生時代の音楽仲間とおやじバンド「4-BLOOD」を結成。現在そちらにご執心中 につき、創作活動は停滞中。


TAGS: 恋愛とセックス


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