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Choise

心が変われば身体に変化がおこる! 風子さんがオーガズムをえるまでの記録

人間関係とは、もっと自由なんだ。

前後するが、彼とまだ性のセッションをしている頃、私はとても結婚がしたくなった。 彼がすべてだ、というのと矛盾するが、でも彼には奥さんがいて、私にはそれを壊すことはできないし、 彼も壊すつもりがない。

誰かを不幸にするものは、いつか自分も不幸になる。 当たり前のことだ。 宇宙の法則だ。 私にはそんな恐ろしいこと、無意味なことはできなかった。

そして、私にはパートナーが必要だった。 毎日会ってくれて、私の様子を気にしてくれて、毎日一緒にご飯を作って食べたりする人がほしかった。 そして、もっと正直に言えば誰かとたくさんセックスしたかった。

彼には、私が思っていることを全て打ち明けていたので、そのことも言った。 彼は喜んで応援すると言ってくれた。

この辺りは、体験しないとわからないと思う。 独占欲の強い人、人にしがみついてコントロールされたり、コントロールしてしまう人には きっとわからないと思う。

人間関係とは、支配関係やコントロールしあうものではなく、もっと自由なんだ。 それぞれが、思うことをしたらいい。 それは時に孤独だけれど、とても自由で広い世界。 言葉ではあらわせない。

とにかく、彼は私の幸福を考えてくれている。 そして、私がなんのきなしに始めた外国語の勉強のことも喜んで聞いてくれ、 自分の知り合いでその国に詳しい人(男性)がいるからその人と一度話をしてみたら、と紹介してくれた。 彼は、私が情熱を持って取り組めることを探すのを手伝ってくれていたのだ。

そうして紹介された人から、本気で勉強したいなら都内にある専門の学校があるから入ってみたら? と教えてもらった。 私には、正直もうほかにやることが、やりたいことがなかった。(セックス以外ではね) だから、迷わずその語学学校に入ってみた。 うまくやろう、とか、うまくいかなかったらどうしよう、などとはもはや考えなかった。 それまでの人生で、さんざん人の目を気にして、親の評価を期待して生きてきたから、 もうそんなのは無意味だと思った。

入ってみると、まわりはだいたいが若い女性で、以前の私のように人の目を気にしている女性が多かった。 それを必死で隠そうと、きれいにお化粧したり、派手な洋服を着ているのがひと目でわかった。

で、いやだな、やめちゃおうかなと思ったけど、なんとなく続けていた。

そして、彼からはもう一人、工芸作家の女性を紹介してもらった。 その人は医療関係の仕事をしていたのに、自分のやりたい工芸の道に進み、今はお教室をひらいて 独立しているひとだった。

その女性のところに体験教室にいって話を聞くと、これが私がのぞんでいる道だ、と思った。 でも正直いって、その時は嫉妬しまくった。 なんてうらやましい。私には考えられないほどめぐまれていると。 私はその人とはそれ以上うまく話せなかった。 うらやましすぎたんである。 彼女が光輝いていて、自分がみじめになってきちゃうから。 私には工芸は無理なのもわかった。 繊細な作業はできない、もっとダイナミックなものを私の魂がもとめていたから。

その女性と話したら再び勇気が出てきた。 家を飛び出す勇気だ。 前に一人暮らしをしたときにうまくいかなかった、という体験をしたので、正直もう一度家を出るのがこわかった。 また、あんなふうに精神的におかしくなっちゃうんじゃないかって。

家の人、とくに母親にたいして怒りがこみあげていた。 とにかく私は支配されていた。 私は監視されていて、母親の幼い魂に前を進むことを邪魔されていた。

彼女と離れなければ。 そう思った。 とても辛かった。 母親から離れるのは、とてつもない恐怖感と罪悪感があった。

工芸作家の女性と話したあと駅に向かいながら、ある賃貸の会社に電話していた。 そこは、語学学校にも近くて敷金や礼金もいらず、保証人もいらなかったから。 あと、家具や食器などもそろっていて、すぐに入居ができた。 そして、親がとめるまもなく家を出た。

紙袋ひとつで、じゃあまたね、という感じで軽く家を出た。 先はわからないけど、とにかくなんとかなるだろうと思っていた。 前みたいに、出て行ってやる!今生の別れだ! というせっぱつまった感じではなかった。 自然だった。 熟した果実がポロっと落ちるような。

そして、そこから語学学校に通う日々が続いた。 そんな日々のなか、その語学学校を紹介してくれた男性からときどき電話があった。 その人は私の父親くらいの年齢の人で、なぜか私をとても心配してくれていた。 なんだか私のことをほおっておけない、みたいなことを言われた。 後で彼に聞くと、初めて会ったときの私は眉間にはしわがよって、気難しい顔をして、 顔色がまっさおだったから自殺でもするんじゃないか、と思っていたらしい。

その人の友人も以前自殺したから、怖かったのだったそうだ。 何か思いつめているのならば、以前外国へ留学して自分の世界観がかわったように、 私も外の世界をみたほうがいい、と思ったと聞いた。

私のことを気にしてくれて、心配してくれてとってもありがたいなと思った。 私は自殺はしない。 もう、生きるとか、死ぬとか、そういうところは通りすぎてきた。 外国にいって、世界観をかえる必要もなかった。 もうすでに私の内面は変わっちゃっていたからである。 でもその人の、私を心配してくれるあたたかい気持ちがうれしかった。

だいたいは、真っ青な人を見てもみぬふりをするものだから。 そんな人にかかわったら、どんなことに巻き込まれるかわからない。 そんなリスクもおいておいて、私にそんなことを言ってくれるなんて なんて優しい人なんだろう、と思った。 なんて勇気のある人なんだろう。 ありがたくて涙が出た。

それまで私には、セッションをしてくれていた彼だけしかいなかった。 彼にすがっていた。 でも彼と連絡をとっていないとき私はひとりぼっち、やっぱり孤独だった。 そんなひとりぼっちの私と関わろうとしてくれる人がいる、ってことがうれしかった。 ありがたかった。

こう思えるのも、あの孤独感をしっかりと味わったからだ、と今では思う。 不安や恐れを見つめつづけて、味わいつくして初めて、反対の希望や喜びを知る。

この世界には、影があり、光がある。 果たして影は悪いのだろうか。 ちがう。 この世界は立体だから、光があたると自然に影ができる。 影があることを知ったものは、光があることも知る。 両方を知ること。 両方があること。 それが真実、それが真理。 そして、それはすべて自分の中にあること。 それを知るために、人は肉体を持って生きるのだろう。




Stanley

桜庭風子

セクシャリティーに関するコラムニストの卵、 現在35歳。 30歳をすぎてからいきなり人生が変化し出し、我ながらとてもダイナミックな体験をしてきました。 もっと多くの人が、セックスや性と自然に触れ合えるようになることを願っています♪


TAGS: 恋愛とセックス


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