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Choise

心が変われば身体に変化がおこる! 風子さんがオーガズムをえるまでの記録

女性のカウンセラーとの出会い

3月末で幼稚園を辞めて、桜も散り、うららかな4月になったが何もする気力が起きなかった。 それまでの人生で私は挫折というものを味わったことがほとんどなかったので、 とても落ち込んでしまったのだ。 もう私はだめだ、と思った。 あの頃は、「とにかく私はだめだ」しか頭には浮かばなかった。 あれって、もしかすると「絶望」ってやつだったのかもねえ。

私はこのまま一生、他人と心のふれあいなどできずに、人と信頼しあうこともできずに、 終わっていくのか、と思った。 私は全くのひとりぼっちだった。

今思うと、自分で自分を追い込んでいたなぁ。 部屋から出ないで、テレビばかりみていた。 もしくは資格の勉強のために図書館に行って、手当たり次第に本を読んでいた。 私にできるのは、それくらいだったからだ。

でも、現実は何も変わらなかった。 働かなくても当分は暮らしていけたので、資格の勉強だけは続けていた。 でも、だんだんとそれも苦痛になってきた。

何日も、誰とも話さない日々が続いた。 買い物から帰る道で、住宅街の道を歩いているのにまるで砂漠にいるかのように孤独だった。 その時、まわりには誰もいなかった。 「ああ、もう死のうかな」とふと思った。 その時、蝶が1匹、ヒラリと私の近くに飛んできた。 涙が出た。 チョウチョが私に、「まだ、死ななくていいよ」って言ってるように思えた。

以前、何かの映画で、主人公が絶望のあまり自殺しようとした瞬間、 やはり蝶がヒラリと飛んできて、主人公は死ぬのをやめたというシーンがあった。 たしかその映画の中では、蝶は主人公の愛する女性(犯罪者に殺されてしまった)の魂、 という設定だった。

パッチアダムスという映画だったかな。よく覚えていない。 でも、そういう話を知っていたからか、私のそばに小さな蝶が寄ってきてくれたことが、 とてもうれしかった。 神さまが、「あなたはまだやれるよ、まだきっといいことがあるよ♪」と ささやいてくれているように感じた。

あの時、本当に死ななくてよかった。 あの頃の私は簡単に死ぬ、死ぬと考えていたが、あれも癖みたいになっていたのだなーと思う。 私は、本当に生きるってことを知らなかったからだと思う。

でもあのとき、お先まっくら、完全な一人ぼっちを経験したからこそ、 人に話を聞いてもらえるありがたさ、関心を持ってもらえる幸せ、 というものが理解できるようになったのだと思う。

それから、さすがにもう一人でいるのは限界だ、と思い、 でも誰にでも相談していいわけでもない、と感じたので、心理カウンセリングを受けることにした。 正直、予約をとってから、行くのがためらわれた。 私はこの頃まだカウンセリングに対して偏見があったので、 「ついに私はお金払ってまで自分の話を聞いてもらわなくちゃならないところまで落ちたのか」 と思っていた。

でも、幸運なことに、私はとても相性のいい女性のカウンセラーの方に担当してもらった。 初回のカウンセリングから、私はもう泣きっぱなしだった。 1時間の間、泣きながら、鼻水を流しながら、カウンセラーの方に感情をぶちまけた。 その女性はとても辛抱強く、いやな顔ひとつ見せずに私の話を聞いてくれた。 私のような心理状態の人間の話を傾聴する、というとても大変なことをその人はしてくれた。 私にはとてもできないもの。

私は相手の表情や声のトーンなどから、相手が自分をいやがっているかどうか、にとても敏感に 反応するタイプだった。 だから親や友人たちと話をしている時に、相手から「あなたの話は理解できない」とか「なにわがまま言ってるんだ」 というような表情が見て取れるとすぐさま、それ以上は本心を話さなくなるのが常だった。 でも、その女性は顔色ひとつ変えずに、とてもあたたかい表情で私の話を聞いてくれた。

「こんなにも、なぜ私のグチグチした話をいやな顔もしないで聞けるのですか?」と聞いたら、その人は 「私は、人間って本当はとても強いものだと思っているんです。 だから、今はこの人は泣いていても、いつかは乗り越えられると信じているから、話を聞けるんじゃないかな。」と 率直に話してくれた。

カウンセリングを続けて半年後くらいには私は徐々に元気になり、お祭り女の部分が再び現れてくると、 彼女はとても楽しんで私の話を聞いてくれた。 まるで、母親が子どもが今日あった話をうれしそうに聞くような感じだった。 そして、「あなたには創造性がある」と励ましてくれた。

思い出すだけで、涙が出るほどありがたい。 でも、その人と連絡はもうとっていない。 なんとなくだが、あの半年、私と彼女でやれることはすべてやった気がするから。 課題が終わったら、次の課題にぶつかっていくのが人生だと思うから。

そうか。書いていて気づいた。 幼稚園で働いていた頃、周りの人とうまくコミュニケーションとれずに悔やんだけれど、あれは 「人と自然にコミュニケーションがとれないことは、とてもつらいことだ」っていうことを学んだんだ。 そして、あの辛さを体験したからこそ、人とふれあえる喜びを知ったんだ。 そして、今は連絡とっていないけれど、私はあの時自分でできること、 あのとき一緒にいた人たちとやらなくちゃいけないことをやりとげたんだ。

もういいや。 あの頃からも、自由になろう。 辛かった過去を手放そう。




Stanley

桜庭風子

セクシャリティーに関するコラムニストの卵、 現在35歳。 30歳をすぎてからいきなり人生が変化し出し、我ながらとてもダイナミックな体験をしてきました。 もっと多くの人が、セックスや性と自然に触れ合えるようになることを願っています♪


TAGS: 恋愛とセックス


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