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Choise

心が変われば身体に変化がおこる! 風子さんがオーガズムをえるまでの記録

はっきりとNOを言えるようになりたい。

1月から事実と感情を分けて書くという日記を付け出して、 2月には、彼とつきあうことに、ほとほと嫌気がさしてきた。

今まで、どんなに自分を感情を抑えて彼とつきあってきたかがわかったから。 彼と一緒にいるときだけ、とりつくろっていれば、会話もはずみ 2人で楽しい時間を過ごしているつもりだった。

でも、彼と会ったあとは、いつもとても疲れた。 なんだか、仕事しているような気分だった。 彼と一緒にいても、心の底からくつろいでいないからだ。 何年つきあっても、こんな調子だったから、彼と一緒に旅行とかに行って 帰ってくると、ヘトヘトに疲れて帰ってきた。 こういうことも彼との結婚を考えたくなかった原因だった。

バレンタインデーにはだいたいチョコレートを作ったりしてあげていたが、 その年はもう嫌気が頂点にたっしていたので、彼とは会うだけだった。 彼は大きい会社に勤めていて、終電はあたりまえ、徹夜もなんのその、 という猛烈社員だった。

彼はまるで、落ちこぼれるのを恐れるかのように働いていた。 そして私から連絡をとらないと、ほとんど彼からは連絡がないことに気づいた。

3月に入り、週末も会わなくなっていた。 とても気分が楽だった。 もう本当に、切実に、彼と別れたいと思っていた。 それが私の本音だった。

3月のある日の大安に、友人の結婚式があった。 自分は10年以上もつきあっている彼と、今にも別れそうになっているのを隠して、 幸せそうな友人を見るのはなんだか辛かった。

でも私は、自分でも見事に私の役割である「お祭り女」という役をやりとげた。 楽しくその場を盛り上げるのがけっこう好きなんである。

ただ、さすがに心の中とのギャップで、ヘトヘトになった。 友人の結婚式の翌日だったか、彼と会った。 そして、ファミリーレストランに入り、たしか親の話をしたのだと思う。 親に対する不満、みたいなことを私が話したとたん、 彼はとつぜん不機嫌になり、話をやめるように言われた。

今、思うと、私も彼も、あまりに優等生すぎて、中学や高校の頃、 親に反抗したことがなかった。 あったとしても、ほんの少しだ。 2人とも30歳をむかえたというのに、親の力、親の権力は絶大だった。

やっていないことは、いつかやらなくちゃいけない。 私はようやく親に対して、はっきりとNOを言えるようになりたいと模索していた。 それには、親を批判しなくてはいけない。 それは、私にとって、生きるか死ぬかくらい重要だったのだ。

でも、彼はまだ準備が整っていなかった。 私のほうが少しだけ早く自立しつつあった。 彼は怖かったのだと思う。 今まで親や、先生や、会社などにたてつくことなく、 穏やかに生きてきたのに、なぜ今になって荒波を立てるのか、と。

彼が話の腰を折ったとたん、私の中でなにかが変わった。
(もうだめだ。もうこの人と何を話しても無駄だ。)

そして、二人とも無言のまま家路についた。 彼と横に並んで無言で歩きながらも、正直いってすぐ別れるとは思っていなかった。 だって、10年以上もつきあってきたんだもの。 もっと話し合ってもいいのかもな、とも思っていた。 でも、案外早く別れることになった。

家につく前に、もう一度2人でファミリーレストランへ寄った。 ここまで来て、なさけないことに私は結婚の話を持ち出していた。 結婚すれば何かが変わり、結婚すれば幸せになるかもしれない、 と思い込んでいたからだ。

でも、彼の答えはNOだった。 なぜ?の答えに、

「おまえがこわいから・・・。」ええー!?なんじゃそれ!

こわいのか・・・、私って。

でもこわいかもなあ。

私が、「これからどうすんのよ、結婚しないならもう会わないからね!」 と詰め寄ると、(うう、確かに我ながら怖いわな) おどろくほどあっさりと、 「じゃあ,、もう会わない」と言うではないか。 ええー!?早過ぎないかー? もうちょっと話合ってもいいんじゃないかー? と思ったけど、心の奥底で、「別れろ、このまま別れろ」と声がした。

今思うと、本当にあの時、彼と別れてよかったと心から思う。 正直、私はあのまま彼と結婚していたら、とても恐ろしい奥さんになったと思う。 子どもができたら、虐待していたと思う。 自分のイライラを周りの人にぶつけて生きていっていたと思う。 ホーッ、よかった。

別れ話をしていたその時、彼が突然、 「俺、実はだいぶ前に肩書きがついてたんだ。」と言った。 聞いたとたん、 「なに言ってんだ、こいつは。」と思った。 だから、なんだ。

あなたは30までは結婚したくない、収入に不安があるからといっていたね、確か。 そうか、収入に不安があるんじゃなくて、私に対して不安があったのか。 だから、肩書きついて収入あがっても私には伝えずに、結婚の話も避けていたのかっ!

あと、家を出るのがいやだと言っていたね。 家から出て、2人で生活するのはイヤだって。 あなたはまだお母さんのおっぱいにしがみついている男の子だったのね。 (でも、あなたの尊敬してやまないお母さんって、実は相当こわいお母さんなのよー。 あなたは、反抗することもできなくて、お母さんの言うなりで生きているのよー。フッフッフ。) とまではさすがにその場では言えなかった。

そんなわけで、じゃあ帰ろうか、ということになり、 内心では、(ええー?これでもう別れるの?あまりにもあっさりすぎやしないか?) と思ったけど、彼は私を家の前まで送ってくれて、 私をギューっと抱きしめて、「サヨナラ」と言って彼は帰っていった。

あまりにも話が急展開すぎて、私は体が震え、立ってることもできなかった。 今まで、そりゃあ幼い魂同士だったけど、10年以上支えあってきたもう1本の柱が なくなってしまったようだった。 私たちは、お互いにピッタリだったのだもの。

人と別れるって、こんなに体も心も引き裂かれる想いがするんだ、と思った。

心臓がバクバク音をたてていた。

内心、このまま死ぬかもなあと思った。

数年前にも、彼とギクシャクし出した頃、 私から彼にキスをしようとしたら、まるで汚いもののように避けられて、 それがとてもショックで高熱を出した。

40度の熱が何日も続き、下痢と吐き気が止まらず、体中にじんましんが出た。 2週間くらい入院した。 その時、彼は怒りながら(!?)もお見舞いにきてくれて、仲直りをしたっけ。

その時の私は、当時自分では気づかなかったが、熱を出したり体を壊すことで、 (私を見捨てないで!こんなに体が弱い私をもっと大切にして!)と 彼に訴えていたのだと思う。

彼に避けられた私は、なりふりかまっていられなかったんだろう。 私は彼にしがみついていたのだなあと、振り返ってみてわかる。

あの時、体を壊してみて初めて、人間って弱いなと思った。 心と体ってつながってるんだと思った。




Stanley

桜庭風子

セクシャリティーに関するコラムニストの卵、 現在35歳。 30歳をすぎてからいきなり人生が変化し出し、我ながらとてもダイナミックな体験をしてきました。 もっと多くの人が、セックスや性と自然に触れ合えるようになることを願っています♪


TAGS: 恋愛とセックス


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