KAMEYAMAⅣ~vol.24 40代、「したくてたまらない」の真偽は

 

最近、周りで40代の女性たちが「セックスしたくてたまらない」と公言している。過去を振り返っても、これほどいわゆる「熟女」たちが「セックスしたい」と言っている時代はないように思う。

一説には、40代前半で女性ホルモンが激減、相対的にもともと女性ももっている男性ホルモンが優位になり、攻撃性が強まるので「したくてたまらない」状態になるのだとか。女性がハンターになる時期なのかもしれない。

「そういえば」

思い当たる節があるというのは、ミエさん、45歳。数年前から、いい男を見ると、ついつい秋波を送ってしまうのだという。

「若い頃、一度結婚したんだけど離婚しました。子どもがいなかったから、そのままフルタイムで働き続けて。恋愛もしたりしなかったり。それほどセックスにも興味がなかったんですよ。それがここ数年、確かにしたくてたまらない。女友だちに聞いても、みんなそう言いますね。主婦の友だちは、『夫とはしたくないけど、クラス会で再会した友だちとそういう関係になっちゃった』とか、『SNSで知り合った人と』とか。30代のころにはほとんど聞かなかった話だけど」

そう言うミエさんも、行きつけのバーで5歳年下の男性と知り合い、現在交際中。カウンターに座っていた彼を、反対側のカウンターからちらちらと見つめ続けていたのだとか。

「彼が気にしてくれたのがわかったんです。そうしたらバーテンダーが、『あちらのお客さんが1杯ごちそうするとおっしゃっていますが』って。それから席を移ってきて、話をして。こういうことができるのも、ある程度、年をとったからでしょうね。若いときはそんな図々しいことはできなかったもの」

誘われるのをただじっと待つのではなく、誘われるように仕向けていく。これぞ「大人の女性」なのかもしれない。

「彼とはセックスの相性がとってもいいんです。あちらは既婚だから、私も無理したつきあいはしなくていい。彼は奥さんにセックス拒否されているんですって。不謹慎な言い方だけど、みんなに都合のいい関係なんじゃないかなと思うこともあります。私がのめりこみさえしなければ」

それは、好きだけどのめりこんではいけないという彼女の意思表示でもある。

節度のある、大人の関係。いいとか悪いとか言う以前に、こういう関係も世の中にはあり得るし、実際にあちこちで耳にする。

もちろん、セックスフレンドというわけではない。もっと情が通い合っている。恋愛といってもいい。だが、結婚を目的としているわけでもない。いつ終わるとも知れない関係だからこそ、お互いに心遣いができる。決して公にはできないけれど、秘密の関係を守れるだけの強さがあれば、これもまた「ひとつの恋の形」なのではないだろうか。

 

 

 

 

 


著者:亀山早苗
明治大学文学部卒業後、フリーランスライターとして活動。夫婦間、恋人間のパートナーシップに関する著作多数。女性の立場から、男女間のこまやかなコミュニケーションのひとつとしてセックスを重要視する。 亀山早苗公式サイトはこちら・カフェ・ファタル

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