KAMEYAMAⅣ~vol.17 “普通じゃない”セックスを求める彼

 

年下の女友だちである智美さん(32歳・仮名)が、がまじめな顔で相談があると言う。

「同い年の彼とつきあって3年。一緒に住んで1年。信頼しているんだけど、先日、彼が突然、3Pしたいと言い出したんです」

いつも笑顔で元気な彼女の表情が暗い。心なしかやつれているようだ。彼女自身は、どうしたらいいかわからないという。

3Pが「普通じゃない」のかどうか、私にはわからない。そういう趣味の人は確実にいるし、ふたりが納得した上でもうひとりをセックスに絡めるとするなら、それはそれでいいだろうと思う。だから、それをアブノーマルだと決めつける必要はない。

ただ、ふたりだけのセックスが当然だと思っている人が大半であるのも事実。いきなり「もうひとり入れて3人でセックスしようよ」と言われて、ふたつ返事で飛びつく人はそういないだろう。

こういうときは、とにかく徹底的に話し合うしかない。彼がなぜ3Pをしたいと思っているのか。3人目は男なのか女なのか。そして3人目の性別をどうして男(もしくは女)にしたいのか。

「3Pしたいなんて、もう私のことが好きじゃないのね」

と感情的にならず、冷静に話し合ったほうがいい。

しばらくして彼女から電話がかかってきた。今度、彼の友だちを入れて3人ですることになったそう。

「徹底的に話し合ったんです。彼は、もともとそういうことをしてみたかったんだけど、言い出せなかった。でも3年もつきあっているし、もうそろそろ自分の本音を告白してみてもいいのではないかと。私のことは本気で好きだし愛している。一生一緒にいたいと思っている。だからこそ、もっと感じているわたしを見たいんだ、と言ってました。もし、そのことでふたりの関係にヒビが入るようなことになったらどうするのかと訊いたら、それはそこまでの関係だったんだと思うしかない、と。でも嫌ならしなくたっていいんだよ、僕たちの関係は変わらないよ、と」

そう言われて彼女の腹は決まった。彼がしてみたいというならしてもいいのではないか、と。彼も繰り返し、「智美との関係に刺激が足りないというわけではない」と言っていたそうだ。20代前半のころから、彼には3Pに対する激しい興味があったのだという。

彼女は熟慮した上で承諾した。ただ、途中で嫌になったらいつでも彼女から中止を言い出すことができる、その後、ふたりでゆっくりできる時間をもつことなど、いくつか条件を出したのだという。その結果がどうなったかは次号で。

 

 

 


著者:亀山早苗
明治大学文学部卒業後、フリーランスライターとして活動。夫婦間、恋人間のパートナーシップに関する著作多数。女性の立場から、男女間のこまやかなコミュニケーションのひとつとしてセックスを重要視する。 亀山早苗公式サイトはこちら・カフェ・ファタル

復讐手帖─愛が狂気に変わるとき 亀山早苗(著)

発売日: 2017/9/22
亀山 早苗 (著)
男の裏切り、心変わり…別れた男、不倫相手、夫…行き場を失った女の想いが向かう果て。ボンド、下剤、剃毛、暴露、破壊、尾行…実録!復讐劇の数々。