KAMEYAMAⅣ~vol.01 セックスについての考察

 

いつもお読みいただき、ありがとうございます。今回からは特にテーマをもうけず、さまざまな形での「男女」や「恋愛」や「セックス」について書いていきたいと思います。

今さらなんだと言われてしまいそうだけど、私自身、「セックスって何だろう」と思うことが多々ある。好きな人と結婚したはずなのに、いつの間にかセックスレスになって悶々とする人、あるいは婚外恋愛をするようになって急に生き生きとし始める人……。

正直言うと、セックスしたくないならしなくていいんだと思う。したいけど我慢しているというのが不自然なのだ。そういう状況に陥った場合、たとえばバイブで満足できることもある。自分の欲求をストレートに満たすだけなら、オーガズムを感じたいなら、むしろバイブでじゅうぶんだといえる。

なのに、人はセックスしたいのだ。それはもはや性的欲求とは少し離れた要求なのではないだろうか。たとえば、「愛されていると実感したい」とか、「人肌で癒されたい」とか。この感覚と性欲を切り離して考えられれば、焦って恋愛しなくてもすむのかもしれないなどとも思う。

などど言っている私も、半世紀以上生きていても、いまだ性欲を手放せずにいる。しかも、恋と性欲の区別がつかないままだ。人間って(いや、私って)愚かだなあといつも思っている。25歳のころ、50歳になっても恋愛したいとかセックスしたいとか、思っているはずがないと信じていた。

だが、今はわかる。おそらく70歳になっても80歳になっても、性欲を手放すことのできない人間がいるということが。私なども、このままいくと、「誰か私としてー」と叫び出す80代を迎えるのかもしれない。

私と同世代で、高齢者の性を「気持ち悪い」と言う人がいる。いや、もう50過ぎれば80も一緒だよと内心思う。性的機能は年齢によってある程度、区別することができるかもしれないが、性的欲求は年齢で違いがあるわけではないのだ。個人差が大きすぎるものだから。 男性週刊誌では、中高年に向けての性に関する記事が華々しく掲載されている。だが、おそらく「トシだから」とあきらめている男性は多いはず。女性も同様。

ごく自然に、中高年の男女が出会える場所はないのだろうか。セックスそのものを目的としなくても、ちょっとエロい雰囲気の中で、ひょっとしたら恋愛が始まるかもという気分が高まるような……。

そんなサロンみたいなものがあったら、おもしろいのになあ、いつか作れないものだろうかと、あれこれ妄想している。

 

 

 


著者:亀山早苗
明治大学文学部卒業後、フリーランスライターとして活動。夫婦間、恋人間のパートナーシップに関する著作多数。女性の立場から、男女間のこまやかなコミュニケーションのひとつとしてセックスを重要視する。 亀山早苗公式サイトはこちら・カフェ・ファタル

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