KAMEYAMAⅢ~vol.13 妻がバイブを持っていた!

 

私の周りでは、ローターやバイブなど女性用のグッズを楽しんでいる友人たちが少なくない。ただ、一般的には、そして特に主婦たちの間では、まだなかなか日常的にグッズを使って楽しむ人は少ないようだ。

「妻の下着が入っている引き出しの奥に、バイブが入っていたのを見てショックを受けちゃって……」

そう話してくれたのは、誠さん(38歳)だ。同い年の女性と結婚して10年、2人の子がいる。妻は専業主婦だったが、半年ほど前から昼間の数時間だけパートに出ている。

「どこにでもいる夫婦です。子どもたちが小さいから、夜は一家四人で布団を敷いて一緒に寝てる。必然的に夫婦間はセックスレスになりますね。ここ2,3年は年に数回ってところじゃないでしょうか。妻から求められたことはないから、それでいいんだと思ってた」

ところが、探し物をしていて、偶然、妻の引き出しを開けてしまい、バイブを見つけてしまったのだ。

「どうして持っているのか。ひょっとしたら浮気相手に買ってもらったのか、あるいは欲求が募って自分で買って自分で使っているのか。想像すると、どうしたらいいのかわからなくなることがあります」  訊いてみればいいし、一緒に使えばいいのにと私はこともなげに言ってみた。女性がグッズを持っているからといって、ショックを受けるのは、もう時代遅れだ。男性がマスターベーションをするように、女性だってする。ごく普通のことだ。

「でも、そんなに欲求が強い妻じゃないんですよ」

べそをかきそうな誠さんに、

「欲求はバイブで満たしているだけかもよ」 と意地悪く言ってみる。

「もう男なんていらない、バイブのほうがいいと思ってるかも」

と、意地悪の追い打ちをかけた。

恋人や妻がバイブを持っているからといって、びびるような男であってはならない。うっかり見つけてしまったけど、一緒に使ってみたいと言ってみればいい。そこから、パートナーとのセックスは必ず変わるはずだ。

せっかく日常生活を、そして人生さえも共にしているのだから、もっとセックスを楽しんだほうがいい。

「そんなもんですかねえ」

不審そうな誠さんだったが、後日、送られてきたメールは、行間が喜びで満ちていた。

 

 

 

 


著者:亀山早苗
明治大学文学部卒業後、フリーランスライターとして活動。夫婦間、恋人間のパートナーシップに関する著作多数。女性の立場から、男女間のこまやかなコミュニケーションのひとつとしてセックスを重要視する。 亀山早苗公式サイトはこちら・カフェ・ファタル

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