IKU ~vol.02 「イかせる」は「生かせる」に通ずる

 

いろんなセクシャルな場所で—出会い系からカップル喫茶からスワッピングパーティー、普通のOLからSM倶楽部で働くM女、風俗嬢まで—いろんな種類の女性、数千人に出会ってきた。そういう女性の中には純粋に新しい性の刺激を求める者もいれば、夫婦の絆を確かめながら未知の快楽を求める者たちもいる。その中で無視できない大きな一角を構成しているのは、いわゆる「イケない女性」だ。

 その「イケない女性」の中で、記憶に残っている一人は、1000人切りをした20代後半の女性、Yさんだ。

 Yさんとは、私の主催するサークルを通じた出会いで、最初に会ったのは、21世紀になったばかりの夏、新宿のWというシティホテルのロビーだった。光物は身につけておらず、服装はジーンズ姿で割と地味め、中肉中背で髪はセミロング、何処にでもあるような麻のトートバッグを持ち、赤茶の入った大き目のサングラスをかけていた。

 私のところに来る女性は、彼氏を求めているわけでもなく、複数の男性から責められたいと言う欲求を満たすことを目的にしてるはずなのだが、実際にはそんな単純なことにならない。

 Yさんの場合、部屋に入るなり饒舌に話しを始め、ご自身の過去の「武勇伝」から今後の性の冒険の予定などにも話しが及んでいた。私たちと3Pを楽しんだその次の週には、「輪姦」されるのが決まっているのだそうだ。某有名サイトでの話しがまとまったそうで、埼玉のある山林を借り切って、Yさんひとりを男性50人が追い掛け回すというもので、半日がかりの「イベント」となるのだそうだ。もちろん、Yさんの希望に応えてのものだ。そんな話しを楽しそうにするYさんに屈託の影は全く無い。

 それから何年かして、天然系の妙に明るく頭の回転の良い「じしょらー」【自傷する人のこと】の女性と出会った時に、Yさんのことを思い出して合点がいった。直感的に「似てる!」と思った。すると偶然にもその時期に、深夜のテレビでYさんを見かけた。誰かに似ているなぁ、と思って見ていたら、携帯に当時彼女を担当したメンバーからメールが来て、その番組に出ているのはYさんだと言う。サングラスが更に濃くなっていて、すぐにはYさんとわからなかった。

 その番組では、「性の豪傑、1000人切りした女」として扱われていて、実際、新宿区の出会い喫茶などで着々と数字を伸ばしたのだそうだ。その番組で語るYさんは、あの時以上の堂々とした態度で、饒舌さには磨きがかかっていた。その部分が、自分の腕に刻まれた傷を見せながら、自嘲的に楽しそうに話す「じしょらー」に似てるのだ。自傷する人たちは、決して自殺したいわけではない。自傷と言う行為で救われたいのだ。それと同じように、このYさんもセックスがしたくて経験人数を増やしてきたわけではないようだ。

 Yさんについて分っていることは、イケない女性である、と言うことだった。Yさんは特に目立ったケースかもしれないが、風俗嬢の場合を除き、概ね経験男性が、短期間の内に50人を超えてしまっている女性は、殆どの場合イッた経験がない。イケてないから次の男性にそれを求めて繰り返し、ふとすると数が増えてしまっている。

 そういう女性の傾向として、保守的な家庭に育った長女と言う傾向があり、女子校出身者である場合も多い。自由闊達に見えるが、一方で形式や社会常識、体裁で判断する傾向が強く、自分を形成する過程で、何かが欠けている、何かを飛び越してオトナになっている。「賽の河原に石を積む」ように何度も何度も足りないモノを補おうとして同じことを繰り返している、と言う印象だ。

 そういう女性にとって、イクと言うのは、単にエクスタシーに達する、と言う肉体的な問題以上に、精神的に囚われている「負のスパイラル」から抜け出すことと同義になる。(が正しいかどうかはともかく、少なくとも女性はそのように思いこんでいる)

 そういう意味で、「イかせる」は「生かせる」に通ずると思っているし、女性の精神的な背景を踏まえながらプレイを組み立て行かないと「いかせる」ことから遠のいてしまう。

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