前回私は、「好きな男だったら一緒にいるだけで濡れる！」と断言した。しかし、次第にその生理現象はなくなってしまいませんか？　悲しいことに、脳は新しい刺激、もっともっと強い刺激を求めてしまうんだ。慣れることは人間の習性としても大事なことだけど、繰り返し重ねた体験は、刺激とは縁遠くなっていく。それはそれで「気心知れた仲」「馴染みのセックス」と変化するんでしょうが、相性が合わないと、やっぱり、ねぇ、もっと気持ちいいエッチがあるんじゃないかって浮気心も湧くでしょう。

濡れなくなる心理的な原因はいろいろある。マンネリとか、相手に対する不満とか。最初のうちは「好き」っていう気持ちでカバーしていたのがだんだん薄れてくると、純粋なテクニックのぶつかり合いになってしまうのね。私の経験では、前戯なしでも濡れるからＯＫだった男が、気持ちが醒めるとともに「え～ん、前戯なしじゃ濡れないよう、でも今さら言えないよう、もうやだー」ってなってしまったことがある。ま、それだけ相手とエッチに関してコミュニケーションが取れてなかったわけだから、仕方ない話だけどね。　セックスに貪欲な女の子なら、好きという気持ちではなくても、最初は好奇心とか期待で興奮するはず。そこで相性がいまいちとか、自分勝手でつまらないセックスだったりしたら、「はずれ」だってヤリ捨てちゃえ。まあまあ期待通りの内容でも、慣れてくると飽きてくるよね。男も手を抜きはじめるのかもしれないけど、刺激が足りなくなるのでしょう。そこに相手に対する思いやりとか、愛みたいなものが生まれれば関係は続くんだ。お互い工夫して続けようとするとか、いっそセックスレスで付き合うとかさ。だから、相性というのも、一概には言えなくて、作り上げていける可能性はあるよね。長く続ける関係ならなおさらマンネリは避けられないわけだし。

でも、絶対的に、身体の構造上の合う、合わないもある！　これは数をこなしてるからこそ言えることかもしれない。好きとか嫌いって感情は度外視だもん。セックスで心理的な影響まったくナシって普通はありえないかもしれないけど、見た目は全然好みじゃなくても、単純にチンコとマンコが鍵と鍵穴的にしっくり来ることってあるよ。初対面なのにあららイッちゃった、みたいな。まあ、それも同じ人と毎回ヤッてると私は飽きるけどさ。

たとえ暴力亭主でも、情が絡んでるうえに、「セックスがよくて離れられない」ってのはあながち冗談でもないのかも。セックスの相性はいいに越したことはないけど、その他に問題がありすぎってのもどうかと思うけどねえ。

著者：山口みずか
現役高級ソープ嬢、ライター、作家。
「1996　AIDS文化フォーラムin横浜」の講演会「性風俗とHIV/AIDS」に 　パネリストとして出席、現役の性風俗嬢が公に発言した講演会ということで話題を呼んだ。著書に「性器末コレクション 」（イースト・プレス）、「てぃんくる系必勝講座」（太田出版）、「Ｈの革命」（共著・太田出版）など。

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