KAMEYAMAⅠ~vol.10 ふたりだからできること

 

男女ふたりの関係において (もちろん、男同士でも女同士でもかまわない。お互いに好きで、相手を欲しているという意味)セックスは重要だと私は思っている。デートではもっとすることがあるとか、セックス以外にも楽しいことがあるという話もよく聞くけれど、それでもやはりセックス重視という姿勢は、20代のころから変わらない。同世代の友人だちは、比較的、そういう考え方が多い。

「もちろん、オーガズムを得て、 ぶっ飛ぶような快感があるのもいいんだけど」

そう言ったのはA子。うんうんと私とB子は前のめりになる。

「ふたりでいて、いちばん楽しいのって、いちゃいちゃできることじゃない?」

「私もそう思う~」

B子と私はハモった。確かにそうなのだ。
ぶっ飛ぶようなオーガズムというのは、実はバイブでも得ることができる。むしろ、得られないのは人肌の感覚。いちゃいちゃとお互いを抱きしめあい、貪りあいながら、そのうち眠ってしまうのもいいし、いつの間にかまた情欲の虜になるのもいい。

「お互いに仕事で疲れていたりしながらも、なんだかいちゃいちゃしながら、だらだらと過ごしているときが、私の至福のときなの」

A子はバツイチの43歳。最近、5歳年下の彼ができて 、「いちゃいちゃ」の心地よさに気づいたという。

「なんせ前の結婚では、10年くらいセックスレスだったから。人肌の気持ちよさって、格別なのよ」

激しいセックスだけがセックスではない。
肌が密着して、ぬくもりを感じたとき、体中から突っ張っていた力が抜けるような感覚に陥ることがある。

「わかるぅ。好きな彼の肌のにおいをくんくんかぎながら抱きしめられてると、なんだかほっとするのよねえ」

とセックス好きのB子。
彼女は、若いころからイッてナンボだと思っていたらしい。

「いや、今も常にイキたいと思っているのよ。だけど頭の先から脚の先まで、互いに密着しながらいちゃつくのも悪くない、なんて思い始めてるの」

彼女の言い分に、私も深く共感した。


著者:亀山早苗
明治大学文学部卒業後、フリーランスライターとして活動。夫婦間、恋人間のパートナーシップに関する著作多数。女性の立場から、男女間のこまやかなコミュニケーションのひとつとしてセックスを重要視する。 亀山早苗公式サイトはこちら・カフェ・ファタル

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