KAMEYAMAⅠ~vol.9 オーガズムって何?

 

女性たちと性について話していると、20代だろうが40代だろうが、必ず出てくるのが「イッたことがない」という話題。
つい先日も、40歳になる既婚女性が「頭が真っ白になるような体験をしたことがない」と真顔で言う。
同席していた30代の独身女性も、「私もすごく気持ちいいというのはわかるんだけど、イクというのがどういうことかわからない」と言いだした。

オーガズムを得ると、肉体的な変化はある。
たとえば性器の充血や、性器周辺の筋肉の収縮、発汗などなど。
だが、「極度の快感」を得ている本人に、その体の変化はなかなか気づきにくい。
「オーガズムを得られるかどうか」と考えながらのセックスでは、きっと得られない。

一方で、ある20代の女性は「彼とのセックスが苦痛だ」と言う。
「好きだから、いろいろなことを考えてしまう」のだそう。自分はちゃんと感じていることを伝えられているだろうか、感じたときの表情がきれいだと思ってもらえるだろうか、声は大きすぎないか,等々。そんなことを考えていたら、セックスなんて楽しくなくなるに決まっている。

オーガズムを得るには、おそらくセックスに夢中になることではないかと思う。
自意識を飛ばして、相手にどう見られているかなんて気にしないで。好きな人と好きなだけつながっていることを楽しむ。その延長線上にオーガズムが待っているのではないだろうか。

「カレシだと緊張しちゃうけど、男友だちとエッチしたら、すごく感じちゃって」

そんなふうに言っている20代前半の女性もいた。
そのとききっと、彼女は自分の快感に集中していたのだろう。だから感じることができた。だけど、セフレとは感じてカレシとは感じないなんて、もったいない気がしてならない。

セックスは遊びでもできるし、本気で好きではなくても肉体的な快感も得られる。だけど、心の底から惚れた人と一所懸命したときは、
特別の快感が生まれるものでもある。
うれしくてありがたいような気持ちになって、涙が出てしまうほど。

たかがセックス、されどセックス、なのだ。

 


著者:亀山早苗
明治大学文学部卒業後、フリーランスライターとして活動。夫婦間、恋人間のパートナーシップに関する著作多数。女性の立場から、男女間のこまやかなコミュニケーションのひとつとしてセックスを重要視する。 亀山早苗公式サイトはこちら・カフェ・ファタル

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