KAMEYAMAⅠ~vol.4 最初に感じたのはいつか

 

私の世代だと、「登り棒派か机の角派か」がよく話題になる。

最初に感じたのはいつか、ということだ。ちなみに私は登り棒派。忘れもしない、小学校2年生のとき。
1学期、私は登り棒を上りきることができなかった。悔しくて、夏休みに学校に通って練習することに。そして3日目くらいだっただろうか、「うふん」と感じてしまったのだ。登り棒に足を絡めた瞬間に。それで勢いがついたのか、あっという間に上れるようにはなったのだが、
あの快感が忘れられず、夏休みの間中、登り棒にしがみついていた。

秋になって、担任の先生が「あなたは本当に努力家ね」と褒めてくれたのが、どこか後ろめたかった。

私の友人A子は「机の角派」だ。
やはり小学校低学年のとき、掃除の時間になぜか机の角に股をぶつけてしまい、「あららら」と思ったそうだ。

しかし、もっと本当のことを言うと、私は幼稚園のころから自分の性器をいじっていた。
眠れない夜、布団の中で自分の体を触っていたら、ふいに穴が開いている場所を見つけてしまったのだ。それ以来、その穴が不思議で不思議でたまらず、小指をそっと入れてみようとしたと記憶している。

登り棒でうっふんのあと、定期購読していた雑誌の付録に聴診器がついてきたことがある。
それを私はずっと気になっていた穴に入れ、中の音を聞いてみた。たいした音はせず、なあんだと思ったものだ。

さらに2~3年後のこと、どうしてもまだあの穴が気になっていたので、ある日、意を決して、父親の日曜大工の道具箱からペンチを取り出した。そしてあの穴を思い切り広げて、鏡で見てみた。ヒダヒダの奥にピンク色の肉が見え、ぎょええと思ったけれど、そこにペンなど入れて見ると、なんとなくもやもやっとした気持ちになる。人は入れると出してみたくなる。
出し入れを繰り返すと、「もやもや」が「ああ~ん」になった。

そこから私のマスターベーションの旅が始まったと言っても過言ではない。

 


著者:亀山早苗
明治大学文学部卒業後、フリーランスライターとして活動。夫婦間、恋人間のパートナーシップに関する著作多数。女性の立場から、男女間のこまやかなコミュニケーションのひとつとしてセックスを重要視する。 亀山早苗公式サイトはこちら・カフェ・ファタル

復讐手帖─愛が狂気に変わるとき 亀山早苗(著)

発売日: 2017/9/22
亀山 早苗 (著)
男の裏切り、心変わり…別れた男、不倫相手、夫…行き場を失った女の想いが向かう果て。ボンド、下剤、剃毛、暴露、破壊、尾行…実録!復讐劇の数々。