ERO-DVDⅡ ~vol.11 最近のAVについて思うこと

ラブリーポップさんにお声をかけて頂き、DVDレビューを書かせてもらって約一年。
女性が見て楽しめる作品をたくさん紹介させて頂きました。DVDの選択はラブリーポップさんにお願いしていたので、私は脳天気に「あーこの作品、いいねぇ。この女の子、可愛いなぁ」などと見ていたのですが、それと並行して某社から出ているアダルトDVDの新作紹介雑誌のお仕事も続けていました。
ラブリーポップさんのお仕事は楽しかったけれど、新作DVDの紹介記事は正直キツイものがありました。
長年やっていますし、どぎついエロには慣れているから 、そこが問題ではないはずなのですが…。

世に氾濫するアダルトDVDのほとんどはやっつけ仕事です。
メジャーなメーカーから発売される作品は月に1000本を超えるといいます。ラブリーポップさんのWEBマガジンで紹介したDVDは単体女優さんのものがメインですが、AV業界で「単体」といえば超エリートです(単体女優というのはDVD一本の主演を張れる力量を持つ女性のこと。
及川奈央ちゃんや蒼井そらちゃんクラスですね)。可愛い子や人気が出そうな子はいろいろなメーカーと契約し、そういう子が主演するDVDが月に3~4本出ます。メーカーが違うだけで内容は大差ないんですけどね。そのためでしょうか、マイナーなメーカーではアイディア頼りになりますし、主演女優のレベルは押して然るべしです。

もちろん女優さんを選ぶときに「若ければいい」「美人でスタイルがよければいい」とは言いません。
ですが、作品の最後で出演者募集をし、その要項に「熟女OK・ルックスやスタイルに自信がない方も一度面接においで下さい」
と書いてあると萎えます。年齢はユーザーの好みだからいいけど、自分に自信がない女性の作品が見たいですか?そして、その女性はたいてい一作で消えていきます。

一方で、専属女優を使って、徐々に育てていこうとするメーカー(監督)もあります。内容の好き嫌いはともかく、そういう姿勢の会社のDVDの方が見応えがあるような気がします。女優と監督に信頼関係がなければいい作品は作れないと思うから。

数年前は伝説的なAV嬢がいたものです。例えば、森下くるみちゃんは7~8年現役であり続けました。それは彼女自身の魅力もさることながら、監督の彼女にかける期待が大きかったという理由もあると思います。彼女には「品」そして「しなやか強さ」を感じます。

ほとんどのAVは数人の女の子をパート毎に撮影して、90~120分に編集しています。当然、女の子の収録人数が多いほど、カラミがメインになります。カラミが多い=エロではないのに、即物的なDVDは増え続けるばかり。今ではカラミシーンばかり収録した2枚組8時間ものなんて珍しくもありません。

とここまで書いて……
なんとなく新作DVDを見続けるキツさの原因がわかってきました。AV界の低迷は、日本経済の不況と同じ。デフレスパイラルに入っているのです。

時間と予算がない→女優を厳選する余裕がなくなる&企画がおざなりになる→とりあえずカラミをたくさん入れとけばいいだろう→女優さんのギャラが安くなる(もしくは女優間の格差が広がる)→いい女性が減ってくる×繰り返し、という感じかな。
これでは素敵な作品に出会う機会はなくなるのも納得です。だってメーカーが女優さんを大切にしていないのですから。

デフレスパイラルから抜け出すには消費者の意識改革が不可欠です。そして企業側には、消費者が「安くなくてもこれが欲しい」と思うような
価値ある商品を提供することが求められます。

この構図をAV界に置き換えてみると、鑑賞者側が「自分はこういう作品が好き!」という意識を持つ必要があります。とはいっても全然難しい話じゃなくて、自分が好きなシチュエーションやプレイを自覚するだけでいいのです。エロやセックスを楽しもうと思ったら、自分の嗜好を知るのは当たり前ですよね。エロで妥協したらすごく損した気がするじゃないですか!
AV界がどうのこうのというのは置いておいて、見る人がレベルの高いDVDを求めればしょーもないものは淘汰されるはずなのです。

という訳で。
次回のコラムで最終回なのですが、【AVを通して人生のエロを楽しむ(仮題)】をテーマに書いていきたいと思います。
どうぞお付き合いくださいませ。

 

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